サンパウロの吉永支局長に聞く。干ばつの影響はどれほど深刻なのだろうか。アマゾン川流域にあるブラジルの1つの州だけでも影響を受けた人は85万人に上り、地元メディアは経済的な損失は推計で日本円で164億円余りに上ると伝えている。この記録的な干ばつの影響は南米の各地に及んでいる。中には150日以上雨が降らない地点もあったほか、森林火災も相次いでいる。このためコーヒーやサトウキビなど農産物の生産にも影響が出ており、市場価格が上昇する要因となっている。そうした農作物を輸入する日本などにも影響しそうだが、COP29では途上国の気候変動対策を支援する資金を巡って議論が紛糾しましたが、ブラジルは来年のCOPの議長国だが、アマゾンでのこの厳しい現状も念頭にどう対応しようとしているのだろうか。ブラジル政府は気候変動対策を前に進めるにはまずは二酸化炭素を吸収するアマゾンの熱帯雨林の保護が欠かせないとして2030年までに森林破壊をゼロにするという目標を立てている。この森林破壊を食い止めるためには地元の住民の貧困対策も含めて対応できるよう国際社会に支援を呼びかけている。次回のCOPはアマゾン川の流域を会場とする予定で、まさにこの課題のある現場の近くで議論をしてもらうことでブラジルとしては、こうした内容を各国に訴える絶好の機会と捉えている。ただ、主要な資金拠出国の米国で温暖化対策に後ろ向きなトランプ政権がスタートすると米国政府からの資金の確保は困難になる見込みで多様な資金源からの資金を確保する必要がある。ブラジルとしては、COP30で気候変動対策を前に進める具体的な成果を上げることができるのか、早くも難題を突きつけられている。