晴海フラッグに申し込みを続けてきた60代の夫婦に話を聞く。終の棲家として購入を申し込んだが、すでに7回抽選に落ちた。この夫婦は申し込みの際に配られた資料を見てある違和感を感じていた。ウェブで申し込めるのは3戸まで、4戸以上申し込むときは対面で申し込んでくれと、ファミリー向けをうたいながら複数の部屋の購入を前提にしている記載があったという。さらに申込会場で目にした光景にも疑問を抱いたという。その後、法人による投資目的の購入が相次いでいたことを知った。5年前から段階的に始まった晴海フラッグの販売。大きな変化があったのは2年ほど前。抽選の倍率が急激に上がった。複数の部屋を取得した法人を取材したところ数十戸単位で申し込んだという証言が相次いだ。中には部屋を手に入れるため一度に200戸以上申し込んだと話す法人の代表もいた。晴海フラッグで5部屋以上購入した不動産会社の代表は今、所有するすべての部屋を賃貸に出している。晴海フラッグで最も多く分譲されたのは85平米の部屋。平均価格は8000万円と周辺相場よりも安く設定されていた。そうした中、都心の新築マンションは価格が高騰。この差に目をつけた投資家たちは晴海フラッグの部屋を転売したり賃貸に出したりすることで利益を得られると見込んだ。もともと分譲マンションとして供給された2690戸のうち転売や賃貸に出されている部屋は少なくとも491、全体の2割近くに上ることが明らかになった。晴海フラッグの物件を専門に扱うようになった不動産仲介業者ではどこよりも詳しく物件の案内ができるよう社員を晴海フラッグ内に住まわせている。東京都都市整備局市街地整備部長・井川武史さんは、急激な変化等ものを見通せなかった、等と話していた。