海外の航空会社が日本国内でジェット燃料を調達できず運航を断念する事態が起きている。北海道・とかち帯広空港では7月から8月にかけて予定していた韓国からのチャーター便が「日本で燃料を調達できない」という理由で中止となった。テレビ東京の調べでは全国5か所の空港で国際線の運航計画が中止に追い込まれるなど、影響が出ている。2021年に民営化したばかりの広島空港もその一つ。収益の向上を目指し、国際線の新規就航や増便を進めていたが海外の航空会社から見送りを伝えられた。国は航空会社や石油の元売り大手などを交え国内での航空機燃料不足の改善策について緊急のタスクフォースを開いた。この中で燃料不足の背景とされたのは製油所から各地の空港に燃料を運ぶ物流の問題。50年ほど前には全国に49か所あった製油所がおよそ20か所に半減したことで空港への輸送距離が延びたこと。さらに、燃料を運ぶ船やタンクローリーの従業員の人手不足が影響していると指摘された。羽田と並ぶ日本の玄関口、成田空港では4月以降、燃料不足で5社程度が就航できていない。成田空港で飛行機の荷物の積み下ろしや、けん引などグランドハンドリング業務を行う会社「JBS」は、人手不足の中、スタッフをかき集め、7月から中国の航空会社3社週13便を受け入れる予定だった。しかしこの会社は石油元売りへ直接契約する航空会社への燃料供給を掛け合ったが生産が追い付かないと断られ、受け入れを無期限で延期せざるを得ない事態となった。国内外の航空関係者を取材すると「他の燃料を売り残してまでジェット燃料を増産したくない」と証言。ジェット燃料は原油から精製して作るが、その割合は7%。同時にガソリンや灯油なども生産される。ジェット燃料以外の需要が伸びていない中、石油元売り企業が精製するのをためらっているのも原因の一つではないかという。石油元売り3社に取材を申し込んだところ、出光とコスモエネルギーは「コメントは控える」と回答。一方、ENEOSは「ジェット燃料の増加する需要に対し供給体制が追いついておらず、エアライン向けの新規追加供給をお断りしているのは事実。羽田や成田でも新規や追加供給についてはお断りしているケースはある」と回答。こうした状況から国内の航空会社にも影響が及ぶことが懸念されている。
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