大手製薬会社の工場である薬の安定供給に向けた国家プロジェクトがはじまっている。国が重要な物資として指定したペニシリン系抗菌薬の原料を国内で生産する計画。現在、この会社は原料を中国メーカーに頼っている。30年前に撤退した国内生産を復活させるという取り組みのきっかけは5年前のトラブル。別の抗菌薬を生産する会社が海外から原料を輸入できなくなった。理由は中国メーカーが製造状のトラブルを起こし出荷できなくなったため。その結果、日本は抗菌薬不足に陥った。現場の医師たちは抗菌薬不足で手術を延期せざるを得ないケースも出た。この会社では残されていた設備を活用し、来年度に国内生産の再開を目指している。問題はコスト。国内産の原料は中国産に比べて5~8倍のコストがかかる。