月面探査機「SLIM」に関するトーク。SLIMは先月20日、月面着陸に挑戦し、高度50メートルでエンジンの一部が破損し、姿勢が制御できないまま、逆立ち状態で着陸した。太陽電池が太陽と反対を向いていて、発電できなかったが、8日後に、奇跡的に発電し始めて、3日間月面を観測した。最大の成果は、ピンポイント着陸の成功だ。これまでの各国の着陸は、平坦な降りやすいところに降りるもので、その精度は、数キロから十数キロだった。SLIMは、降下しながら、月面を撮影し、インプットされている月面の地図と照合して、自身の位置を把握した。目標との誤差は、55メートルだった。2つ目の成果は、着陸直前に放出した、月面を這うように進む超小型ロボットでの撮影成功だ。3つ目の成果は、月の岩石の観測に成功したことだ。近年、月面のクレーターの中などに、水が存在する可能性が出てきている。地球から月に、水1リットルを持っていくのには、1億円かかるため、現地調達するために、各国の探査競争が激しくなってきている。現状では、月の資源に対する権限について、明確な取り決めがなく、早く見つけた国が優先的に利用できる可能性があり、水がありそうなところに、日本がピンポイントで行ければ、今後、月面探査をリードしていける可能性がある。今後、月への物資の輸送は、民間が担う可能性がある。アメリカでは、NASAが複数の民間ベンチャーを選定して、資金や技術を支援しており、先月に続き、今月も、支援を受けたベンチャーが月面着陸に挑戦する。水野は、日本も、JAXAがピンポイント着陸技術を技術移転して、物資輸送が行える民間ベンチャーを育てていくことが課題になるなどと話した。今月中旬、SLIMは再復活に挑戦するため、観測を再開できるか、注目される。