小型ロボットの構造は完成したが、もう1つ課題があった。それは月面を自律制御で移動し、SLIMを見つけ出し鮮明な画像を撮影すること。そのためにはマイクロコンピューターが必要となる。休日に渡辺が電子工作の展示会を訪ねた時、あるブースで自律制御で動くオモチャが目に飛び込んできた。使われていたのはみたことがない小型のマイコン。縦5cm、横、2.6cm。大手電機メーカーがアマチュア向けに発売した商品だった。渡辺たちが興味を示していることを知った永田政晴は目を輝かせた。永田はSLIMを見つけ出す機能をマイコンに組み込むため仲間を募集。瞬く間に宇宙好き社員20人が集まった。一方、平野は小型ロボットを宇宙仕様にするための試験を重ねていた。SLIMを検出し画像に収めるプログラムと格闘していた永田たち、5000枚以上の写真を検証。改良に2年をかけSLIMを性格に捕らえられるようになった。小型ロボットの愛称は「SORA-Q」。宇宙のSORAとQuestionのQ。子どもたちに宇宙に興味を持ってほしいという願いを込めた。2023年、9月、「SORA-Q」が月を目指して出発した。2024年1月、月面着陸の日。高度50m付近まで順調に降下。しかし最後の微調整で2つあるメインエンジンの内、1つが脱落。「SORA-Q」が無事かどうかも分からなかった。感触所で待機していた平野は月からの電波を捉えた。どんなデータなのか復元に要した時間は2日。映し出されたのはSORA-Qが撮った写真。SLIMがピンポイント着陸に成功したことを完璧な構図で捉えていた。。「SORA-Q」は見事使命を果たしてみせた。
