東京・葛飾区の廃工場をリノベーションしたシェアスタジオに沼田侑香のアトリエはある。沼田が使うアイロンビーズとはヨーロッパが発祥の子ども用のおもちゃ。突起の並んだプレートに色とりどりの専用ビーズを並べて絵柄をつくり、アイロンをかけてビーズ同士を溶かして接着すると一枚の絵になる。沼田がアイロンビーズを素材に選んだきっかけは東京藝術大学で油絵を学んでいた頃にシンデレラをモチーフに作品を作ろうとしたこと。幸せの象徴だが、12時になると魔法が解け現実の姿に戻るシンデレラ。「夢は永遠ではない」ということを作品を見てわかるようにしたいと考えたという。アイロンビーズは手でもちぎれそうな見え方もするので魔法とビーズと脆さが合わさると思ったのだという。このときの作品を見た周囲からの言葉で「デジタルとアナログが交差する」という大きなコンセプトができたという。「THE ART HOUSE展」では沼田の作品を5点展示している。