信金中央金庫の鹿庭雄介が解説。トランプ関税について日本は25%と表明され、期限は8月1日に延長となった。トランプ政権は地域別、業種別に様々な関税を発動してきた。4月2日の相互関税導入によって株価は大きく下落。その後はトランプ大統領の発言に株式市場も一喜一憂しながら上向いてきた。交渉がまとまっていない国がたくさんあるので、一本調子で株価が上昇するとは考えにくい。今はVIX指数が落ち着いているが、今後の展開によっては大きく上昇する可能性もある。特に大国の交渉結果が大きな影響を与えるので注意が必要。日本、アメリカ、ユーロ圏の消費者マインドは相互関税導入後に悪化が進み、一旦は持ち直しが回復途上。トランプ関税導入直後には輸出入を中心に駆け込み需要とその反動があったので、実体経済への影響が見えにくい状況。時間が経ってくることで影響が見えやすくなってくる。
実体経済の中で注目すべきはGDP個人消費の動き。相互関税導入前の1-3月期から既に日米欧ともに弱含んでいた。トランプ関税の悪影響が加わることで予想以上に悪化が進む可能性もある。個人消費の悪化には2つの波及経路があり、1つは関税分がそのままインフレ率に上乗せされる場合。そうなるとアメリカの個人消費に影響が出る。もう1つは関税によるコストアップ分を企業内で吸収する場合で、販売価格が上昇しない一方、輸出企業の業績悪化が進む。そこで働く人々の雇用や所得に影響が出て、個人消費を下押すことになる。より厳しいのは前者で、スタグフレーションに陥ると政策対応が難しくなる。後者は輸出関連企業などの個別株への影響が早く大きくなる可能性がある。実際は2つの経路がミックスされた形で実体経済に影響が現れる。トランプ関税の今後のリスクは3つ。1つ目は他国の交渉がまとまらないことで、日本にも間接的に影響が及ぶ。2つ目は関税以外の分野に交渉範囲が拡大すること。例えば中国がドルを売る対応を取ればアメリカや他国の長期金利も上昇する可能性。3つ目はトランプ関税以外による下押し圧力。中東情勢の急変などでマーケットが荒れたり、エネルギー価格が上昇しインフレ率上昇に拍車をかかったりすることも予想される。
実体経済の中で注目すべきはGDP個人消費の動き。相互関税導入前の1-3月期から既に日米欧ともに弱含んでいた。トランプ関税の悪影響が加わることで予想以上に悪化が進む可能性もある。個人消費の悪化には2つの波及経路があり、1つは関税分がそのままインフレ率に上乗せされる場合。そうなるとアメリカの個人消費に影響が出る。もう1つは関税によるコストアップ分を企業内で吸収する場合で、販売価格が上昇しない一方、輸出企業の業績悪化が進む。そこで働く人々の雇用や所得に影響が出て、個人消費を下押すことになる。より厳しいのは前者で、スタグフレーションに陥ると政策対応が難しくなる。後者は輸出関連企業などの個別株への影響が早く大きくなる可能性がある。実際は2つの経路がミックスされた形で実体経済に影響が現れる。トランプ関税の今後のリスクは3つ。1つ目は他国の交渉がまとまらないことで、日本にも間接的に影響が及ぶ。2つ目は関税以外の分野に交渉範囲が拡大すること。例えば中国がドルを売る対応を取ればアメリカや他国の長期金利も上昇する可能性。3つ目はトランプ関税以外による下押し圧力。中東情勢の急変などでマーケットが荒れたり、エネルギー価格が上昇しインフレ率上昇に拍車をかかったりすることも予想される。