- 出演者
- 矢内雄一郎 佐々木明子 平出真有 藤井由依 石黒英之 丹治倫敦 土屋剛俊
オープニング映像が流れた。
株と為替の値動きを伝えた。
米中の対立が際立っている。中国政府は4日、アメリカからの全ての輸入品に34%の追加関税を10日から課すと発表した。トランプ政権の相互関税に対する報復で、関税の上乗せ幅もアメリカと同等にした。これに対しトランプ大統領は自身のSNSで「中国はパニックに陥り間違いを犯した」と批判した。その一方で46%の関税を課すとしたベトナムとは関税交渉を進める意向を明らかにした。ベトナムの最高指導者、トー・ラム共産党書記長と電話会談したトランプ氏はアメリカへの関税撤廃を提案されたとしている。
FRBのパウエル議長は4日の公演で「失業率とインフレ率がそれぞれ上昇するリスクが高まっている」との考えを示したうえで「金融政策は先行きが非常に不確実だ」と述べた。またトランプ政権の関税強化が「想定を大幅に上回る」としてインフレへの影響を見極めるため利下げなどの政策調整を待つ意向を示した。こうしたなかトランプ氏は自身のSNSに「パウエル議長が利下げするには絶好のタイミングだ」と投稿するなどパウエル議長への圧力を強めている。
アメリカの3月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月から22万8000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。医療や福祉関連が増えたほか、ストライキからの職場復帰などが寄与した。トランプ政権の関税政策による不透明感が強まるなかでも労働市場は堅調さを保ったかたちだ。一方失業率は4.2%となり前月から悪化した。平均時給は前年から3.8%の上昇で、前月から伸びが減速している。
ニューヨークで行われた抗議デモではトランプ大統領の退陣を求める「シュプレヒコール」をあげるデモ参加者たちが「王様はいらない」と書かれたプラカードを掲げてトランプ政権への非難を爆発させた。実業家、イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省」による教育・社会保障など公共サービスの削減に反対する声も数多くあがった。全米で約1200のデモが行われたとみられ、デモを主催した団体によると約60万人がデモへの参加に登録し、第2次トランプ政権発足後では最大規模の抗議集会になったという。
石黒さんは金融市場の動揺について「トランプ相互関税に対する中国の厳しい報復措置やパウエル議長の利下げ慎重姿勢が市場の混乱に拍車をかけて、アメリカは金融市場が引き締め的になってきている。S&P500とアメリカの金融環境指数のグラフを見ると、最近の株安の影響もあって引き締め的な状態になっていて、実質的な利上げ効果がもたらされている。こうしたなかFF金利先物市場では6月の利下げが100%織り込まれていたり、年内4回の利下げが織り込まれるかたちになってきていて、株式市場は利下げできないとみているが、債券市場は利下げを促している状況。パウエル議長が金融政策を考えるうえで重要としているのは中長期的な物価安定の信認と述べているので、こうした点を考えるとFRBが債券市場を織り込むように柔軟な政策対応に動くかどうかが株式市場の混乱収束のひとつの焦点だと思う。」などと述べた。
為替の値動きについて伝えられた。
多田出さんのはドル/円予想レンジ:145.00円~147.00円とあげた。多田出さんは「先週末は中国による報復関税発表後に、ドル円は144円台まで下落した。パウエルFRB議長が利下げを急がない姿勢を示したことから、147円台まで上昇しました。本日は株安の連鎖が止まるかが焦点ですけれども、いったん反発したとしてもドル円は上値の重い展開を予想しています。」などと話した。そして、注目ポイントは「トランプ1年目のドル相場」。多田出さんは「トランプ大統領は、選挙戦から全ての輸入品に対する10~20%の関税、中国への60%の追加関税等を主張していて、誰もがまさかと思っていたことに近しいことを本当にやってきたという感じです。」と話した。今後について、アメリカ相互関税は基本税率10%・5日発効、上乗せ税率(国ごと)・9日発効予定だと紹介された。ただ、2段階構成になったことは、上乗せ税率については交渉の余地があるとの見方もできそうとのこと。交渉の結果、各国が関税率引き下げを勝ち取ることができれば、リスク回避で買われた円やスイスフランは売り戻される可能性がありそうだという。ドルは、アメリカ大統領選後の上昇分をすべて吐き出した。多田出さんは「米国例外主義が揺らいでいます。米国例外主義の緩和は投資家がアメリカ以外に目を向け、資金を分散させる誘因になります。」などとコメント。最後に、アメリカの景気悪化懸念が続くのであれば、ドルの調整が長期化しそうだと見解を示した。
各国の10年国債の値を伝えた。
石黒英之さんの、日経平均予想レンジは31800円~33200円。石黒さんは「ニューヨーク市場でVIXが45とパニックという形になってますから、今日の東京市場も売り一色という形。下値でどれだけ押し目買いが入るかが焦点になります。」などと話した。きょうの注目ポイントは「陰の極のシグナル」。相互関税発表を受けた中国の対抗措置や、アメリカのサービス分野にも関税の影響が及ぶのでは、アメリカのハイテク企業の投資縮小などの悪材料が重なり、市場は大きく揺れているという。石黒さんは「ただ、こうした不安が強まる局面だからこそ、投資家は陰の極、大底に近づきつつあることに備えることも必要じゃないかと思います」などと話した。陰の極の兆しは3つあるとのこと。1つ目はVIX指指数(恐怖指数)の期間別動向、2つ目は投資家心理、3つ目はバリエーションのゆがみだと伝えられた。今後について、「まだ株式市場の不透明感は続くが、市場は陰の極を示すサインを出し始めてます。ですから、長期的視点で足元の売られ過ぎのシグナルに時間分散投資を心がけて、冷静に向き合っていく視点も重要ではないかという風に考えています。」などと話した。
トランプ政権による関税措置を巡り石破総理はきのう夜、林官房長官・加藤財務大臣・赤澤経済再生担当大臣などを総理公邸に集め対応を協議した。世界の金融市場に不安定な動きも出ている中、石破総理からは市場や投資家の動きにも注意して対応するよう指示があったとのこと。
今週のおもな予定について。7日、日銀が地域機経済報告「さくらリポート」を発表する。8日には国内で2月の国際収支が発表される。1月の経常収支は2年ぶりの赤字となった。9日にはアメリカで先月18日~19日に開催し政策金利の据え置きを決めたFOMC議事要旨の内容が明らかとなる。10日にはアメリカで消費者物価指数が発表される。今後の金融政策にも影響を与えるため注目が集まる。13日には大阪・関西万博が開幕する。決算発表の予定について。今週はカナダのコンビニ大手からの買収提案に揺れるセブン&アイHDなどの決算が予定されている。アメリカではJPモルガン・チェースなど金融大手による決算発表を控える。
石黒さんは「アメリカの企業決算本格化でとりわけここのところ調整基調が非常に強まっているアメリカの大手ハイテクのマグニフィセント・セブンの決算などに注目。マグニフィセント・セブンとそれ以外の493社の増益率をグラフで見てみると、マグニフィセント・セブンの今回の増益率は16%増益で前四半期の31%からは減速するものの、先々も10%台半ば~20%程度の増益が続く見通し。今回の決算ではこれがどれだけ下振れするか。先々にどう見方を示すかというのがポイント」などと話した。丹治さんは「マーケットの関心は完全に相互関税の影響に移っているので、どうしても3月以前の経済指標に対する注目度は普段より下がりがちになるかなと思う。ただ、その中で今週出てくる消費者信頼感(指数)は調査期間が3月25日~4月7日ということになっているので、関税発表直後のデータを一部含んでいるということになる。かつ消費者信頼感に加え期待インフレなども出てくるので、景気とインフレ両面のデータが出てくるということになる。関税公表直後のセンチメントはどうしても過剰に出やすい部分があると思うので、必ずしも中期的な経済動向を見る上で大きく参考になるかと言うと疑問な部分はある」などと話した。
全国の天気予報を伝えた。
モーサテに出演する専門家が経済の先行きを独自の分析で予想。4月4日~6日にかけてインターネット経由で調査。35人から回答を得た。今週末の日経平均予想・予想中央値3万3000円、先週終値3万3780円。DZHフィナンシャルリサーチ・東野幸利は3万3800円と予想「週後半は大口投資家のポートフォリオ調整の買い」、みずほ証券・三浦豊は3万1600円と予想「週末のSQに向けて下値模索」。今週末のドル円予想・先週終値146.91円、予想中央値146.25円。三菱UFJモルガン・スタンレー証券・植野大作は147.00円と予想「アメリカ景気悪化懸念vs日本早期利上げ観測後退」。
みずほ証券・丹治倫敦の解説。トランプ政権が各国に対し大規模な関税引き上げ政策を発表。世界的な株安、為替はドル安主導の展開。丹治さんは「金利市場はこの関税の影響が最も見通しづらい市場の一つだと思っている。金利の上昇と低下、双方の力がかかる。関税をかけた国にとっては輸入コストが上昇する。それが販売価格の上昇を通じてインフレ要因となる。インフレ上昇は中央銀行にとって利上げ要因となるので金利上昇要因。景気に着目すると関税をあげた国によるとコストが増え企業利益が圧迫されたり、消費が下振れたり影響が出る。中央銀行の利下げ圧力、債権への逃避需要で金利低下要因となる。今回、関税を最初に引き上げたのはアメリカだがただ実際には各国報復関税の応酬が想定されるのでグローバルにインフレ上昇と景気悪化という力がかかる中で金利への影響というのはその綱引きという形になっていくのではないか。現状マーケットは金利低下方向の力の方が強くなりそうという見方をしている。関税発表直後、アメリカの金利は低下した。日本の場合は一つ注意が必要なのは、政府が報復関税を実行する可能性が比較的低く、インフレの上昇圧力は関税を引き上げた国にかかるので報復関税をしないとなるとアメリカと比べ金利低下方向の力により偏りやすい。今年1-3月は米金利が低下するなかで日本の金利が上昇することが起きた。日米のデカップリングが進んでいる。トランプ大統領が相互関税を発表した直後は両国金利が下がりつつデカップリングが縮小する方向に動いている。日本のほうがより金利低下に偏りやすい。目先注目したいのが株価の動向。日銀は昨年8月に利上げの姿勢を弱める局面があった。マーケットが不安定なことを理由にした。マーケットは昨年8月に近づいている。日銀が利上げ姿勢を後退させることがあれば金利低下要因になる」などと述べた。トランプ関税に対する日本政府のリアクション例、財政拡張は金利上昇。円安是正は金利上昇、関税引き下げは金利低下。丹治さんは「政府の反応次第ではちょっと日本の金利には上昇圧力、上昇要因になる可能性もあるということは注意が必要ではないか」などと述べた。
- キーワード
- ドナルド・ジョン・トランプ日本銀行石破茂
土屋剛俊さんは「アメリカの関税を振り返って見ると、2025年の平均関税率は1933年以降最高水準となっています。NY金のチャートを見ていると、1970年の86倍になっています。金は貴金属なのでそのものに価値があり、投資対象というより安定資産と考えると良いと思います。これから金価格を見る場合、地政学理数などに注目すると良いと思います」、石黒英之さんは「金の価格高騰は、トランプ関税などによる投資家の不安心理をよく表していると思います」などと話した。また、債務抑制転換へ改憲が可決したドイツについて、土屋さんは「ドイツは財政的には本当に優等生なのですが、第一次世界大戦後、ハイパーインフレーションになりました。だから、ドイツではインフレだけは絶対だめだというトラウマのようなものがあるんですよね。EUは厳しい財政規律をしていて、その模範がドイツでした。ですから、ドイツの財政緩和はユーロ崩壊への第一歩ではないかと見ています」などと話した。
今日のテーマは「トランプ砲で変える株・為替予想。物色テーマは不景気警戒?」。先週は株為替債券すべての金融商品大きく動いたという。日経平均株価は、先週1週間だけで3339円も下落した。モーサテに出演する専門家に、現時点での2025年年末の株為替債券の予想を調査した。日経平均株価の12月末の予想中央値は、3万7500円となった。3万円を下回る予想も複数あったという。今回株価の予想値を年始時点から変えなかった人は1人だけで、見通しの変更額が大きい人ほど年末の株価の予想値が低いという特徴もあったと紹介された。和キャピタル・村松一之さんは、年末の株価予想は1000円引き下げ4万1000円とした。その理由について「株式市場の困難は長期化しない見込みであり、年中盤以降は株高基調を見込む状況に変化はない」としている。トランプ大統領が何かしら行動に動くと予想していることが伺える。見通しを大きく変更したAIS CAPITAL・肖敏捷のコメントはシンプル「トランプの破壊力が想定を超えた」としている。為替の見通しについて、12月末のドル円の予想値で予想中央値は145円となったと伝えられた。株価に比べると、年始時点の見通しから変更しない人が多い結果となったとのこと。トランプ関税の影響だけでなく、日本の長期金利の見通しが影響している。年末時点における長期金利の予想値の回答には、かなりばらつきがあった。為替と長期金利に関する専門家の見方が紹介された。高千穂大学・内田稔さんは、2円円安ドル高方向に変更した。その理由として挙げたのが、日銀の利上げ見通しの変更だった。内田さんは年末の政策金利の予想を1.0%~0.5%から0.75%に下方修正した。従来予想よりも7円円高ドル安方向に見直したのは、ソニーフィナンシャルグループの石川久美子さん。足元のドル円が想定以上に水準を切り下げたことをこの予想値に反映した結果となっているとのこと。JPX日経インデックス400の構成銘柄の上昇率が紹介された。共通項は節約に力を入れる消費者にとって馴染みのある小売りが多いこと。しまむらは、今季5年連続で最高益を更新する見込みだと伝えられた。