NHKニュース7 (ニュース)
今月で、過労死防止法が施行されて10年。全国一斉に働く人たちの悩みに応じる厚生労働省の無料電話相談が行われた。勤務時間外には仕事の連絡を受けないという考え方も注目されている。長時間労働で夫をなくした女性。女性の夫は、物流機器のアフターサービスを行う会社に勤務していた。自殺する直前1か月間の時間外労働時間は、過労死ラインを超える135時間に上り、労働基準監督署は長時間労働が原因だったとして労災認定した。一方、労働時間とは認められなかったが、女性が訴えていたのは、休日の頻繁な業務に関する連絡も、労働時間に当たるということ。新型コロナ対策として、下請け業者から体温の報告を受け、社内で共有する作業など、早朝から夕方まで40回に上る日もあったという。会社側は、長くても10分程度の短時間の作業であり、過度の負担になるものではなかったとしたうえで、労働時間の適切な把握と削減について改善を続けているとしている。勤務時間と生活時間の区別がつきにくくなっている実態は、連合の調査からも見て取ることができる。「勤務時間外に業務の連絡が来ることがある人」は72.4%に上り、連絡の頻度について、「ほぼ毎日と答えた人」も10%ほどいた。都内にあるIT企業では出退勤や従業員どうしの業務連絡などを一括してできるアプリを開発していて、さらに機能を加えた。アプリ上で退勤のボタンを押すと、上司や同僚などが通話を試みても、出勤ボタンを押すまでアプリを通じた通話ができなくなる。さらに、チャットが送られても通知されなくなるという。開発した企業も、この機能を活用している。労働問題に詳しい専門家・青山学院大学・細川良教授は、休日に業務連絡が積み重なれば精神的にも肉体的にも影響が出ることは間違いないとしたうえで「つながらない権利が享受できる仕組みを作ることが求められる」としている。