視点・論点 (視点・論点)
医師の偏在問題を是正するための議論が進められていて、厚生労働省12月末までに具体策をまとめるとしている。医療の地域格差の問題に対し、政府はこれまで医学部の定員の増加や過疎地に対する医師派遣制度など様々な政策を実施してきた。近年は地域枠という仕組みが重視されている。さらに、医師確保計画を都道府県に作ることを義務付け、医学教育のプロセスから偏在を是正する取り組みを促進している。しかし、偏在は進んでおり、救急や出産などの機能が縮小している地域が出始めている。
今年4月、厚生労働相が偏在是正対策を強化する方針を示し、政府内で議論が始まり、8月には政策の方向性も示された。現在は内容を詳しく詰めるための議論が進んでいる。政策案で最も焦点になっているのが規制的手法の導入。開業医の数に上限を設定する是非などが論じられているが、憲法で保証された営業の自由との関係が課題になる。ここで、ヒントになるのがベッドを巡る規制。地方での勤務を促すうえでは、キャリア形成の観点も重要になる。また、オンライン診療の活用も考えられる。国による制度設計だけではなく、地域の実情に応じた工夫も重要となる。