Nスタ (ニュース)
貿易戦争の号砲になるのか。アメリカ・トランプ大統領は1日、カナダとメキシコに25%の関税、中国には10%の追加関税を課す大統領令に署名した。不法移民と合成麻薬「フェンタニル」が、アメリカに流入している問題を緊急事態と認定。4日から課税を始めると通告し、解決に向けた圧力をかけたが早速、反発が広がっている。カナダ・トルドー首相は「アメリカの措置は両国を団結させるのではなく、分裂させてしまった」と語った。カナダは対抗措置としてアメリカ製品に25%の報復関税を課すと表明。メキシコ・シェインバウム大統領も報復措置の発動を指示し、中国はWTO(世界貿易機関)に提訴するとともに、相応の対抗措置を取る方針を示した。
打撃を受けるのは実はアメリカも同じ。自動車の町として知られるアメリカ・ミシガン州デトロイトの川の対岸はカナダ。カナダからアメリカには年間約4300億ドルの物が輸入されるが、主要な物品の1つが自動車部品。物流倉庫の広さは東京ドーム2個分。関税がかからない利点を生かしてカナダとアメリカの間ではたくさんの自動車部品が取り引きされてきたが、高関税がかけられたら大きな混乱が起きるのは間違いないと話す。物流会社・ジョンエンバス社長は「何百万もの品物がアメリカに向かっている。取引先を簡単には変えられない。最低1年半はかかる」と述べた。実際関税を支払うのは多くの場合物を輸入するアメリカ側の企業で、自分たちの製品の値上がりにつながりかねない。しかしアメリカ・トランプ大統領は「(第1次政権で)ほとんどインフレを起こさず、外国から6000億ドルを獲得した」と述べ、強気の姿勢を崩さない。アメリカメディアは「今回の措置の影響で物価が更に上がることになる」と報じているが、ホワイトハウスは「フェイクニュースが既に関税の効果について嘘をついている」と攻撃している。