アフガニスタン 奪われた女性の権利 “勉強したい”生徒たちはいま

2024年5月29日放送 21:30 - 21:37 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

「女性は小学校までしか学校に通うことができない」とした異例の措置が続いているのが、イスラム主義勢力タリバンが統治するアフガニスタン。タリバンは3年前に権力を握ったあと、女性の教育や就労の権利を次々に制限。国際社会の支援は滞り、厳しい経済状況も続いている。勉強を続けたかった女性たちは、今どうしているのか。NHKの取材班が現地に入り、その実態を取材。タリバンの統治が続くカブールでは、中学生や高校生の登校時間に女子生徒の姿はない。女性の権利は、独自に解釈したイスラム法の範囲内で保障するとするタリバン。いずれ女性にも中学校以上の教育を再開すると説明しているが、その時期は明らかにしていない。タリバン暫定政権のドーハ政治事務所・シャヒーン氏は「カリキュラムなどがイスラム教の価値観に基づいたものになるよう取り組んでいる」と述べた。女子生徒たちは今、どうしているのか。生徒たちが通う場所があると聞き、住宅街の一角にある建物を訪ねた。マドラサと呼ばれるイスラム教の神学校。生徒たちが学んでいたのは、イスラム教の聖典コーラン。しかしその授業が終わると数学の授業が始まった。いまカブールでは、こうした神学校が独自の判断で歴史や物理など一般科目も教えるケースが増えている。タリバンも厳しく取り締まっていない。生徒の数は約500人に上り、増え続けている。神学校の代表は「イスラム教は教育の妨げにはならない。社会のために教育を受けなさいと言っている」と述べた。アフガニスタンでは、タリバン復権後、外国からの支援が滞り景気も低迷。その厳しい経済状況が女性たちをさらに追い詰めている。カブールに暮らす15歳の女性は、かつては医師になるのが夢で、神学校で勉強を続けようと考えていたが、僅か400円の月謝を払うことができず、諦めざるをえなかった。このままでは、せっかく勉強したことを忘れてしまうのではないか。女性は、学校で学んだことの復習や作文を1人で続けてきた。ことし2月ごろ、父親から「親戚の男性との結婚を決めた」と告げられた。アフガニスタンでは、結婚すると男性の家族から女性の家族に金銭が支払われるのが一般的。タクシー運転手として働く父親は、タリバン復権後の経済の悪化で収入が半減。長女が結婚してくれれば、残る4人の子どもたちを食べさせていけると考えた。結婚をすれば、女性は相手の家族の世話や家事などを引き受けることになり、勉強を続けられるかは分かりない。それでも、妹や弟のことを考えると長女である自分が結婚を受け入れるしかないと思い始めている。女性は「貧しい家庭の女の子は結婚するしか道がない」と語った。


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ターリバーンドーハ(カタール)カブール(アフガニスタン)ソヘイル・シャヒーン

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