モーサテ プロの眼
きょうのテーマは「サービスを中心に底堅さを増す日本のCPI」。大橋さんは「足元の消費者物価指数を確認すると、対前年同月比では直近の9がで総合がプラス2.5、生鮮食品を除くコアがプラス2.4、市場が注目する生鮮食品・エネルギーを除く数値がプラス2.1となっており、依然として目標とする物価安定目標の2.0を上回っているが、財・サービス別に見てみると、財は足元でドタバタしているように見えるが、サービスについては鈍化が続いているように見える。ただ、実は両方とも23年以降は一時的な要因を受けており、より基調的な動きを見るためにはそれらの一時的な要因を見る必要があると思う。財には電気・都市ガスなどのエネルギーや生鮮食品が含まれているので、その2つを除いたものを見てみると、足元をよく見るとボトムアウトしているように見えなくもない。22年までのコストプッシュとそれが白濁するプロセスがある中、23年以降はインフレ率自体が鈍化していたが足元はちょっと底ばいになってる気がする。製造業からは今年も値上げをしていきたいという声が結構多いというのが今年の前半くらいには分かっていたことで、私自身の予想も今年の後半頃から財の価格が底堅く推移すると思っていたので、ここから約半年くらいは下げ止まるんじゃないかという見通しを持っている。ただ、来年以降を考えると、足元の財価格の背景になっている製造原価自体があまり上がらなくなってきているので、来年度にさらにまた価格転嫁していくかということについては今のところは分からない」などと話した。
サービスの基調的な要因について、大橋さんは「22年以降の”全国旅行支援”が入るとインフレ率がテクニカルに下がったように見える。逆に旅行支援が終わると上がったように見えるので、その部分は除く。今年1月からは海外パック旅行費が突然3年ぶりに改正されていきなり60%上がったようになっているので撹乱要因になっている。その2つを除いた系列をグラフで表しているが、7~9月に下げ止まったように見えなくはない。例えば外食を見てみると、食品価格は2022年-2023年にものすごい勢いで上がり、それ以降は沈静化しているように見える。強弱まちまちあるが、10月にはちょっと強いものが出る。工事その他サービスでは、コロナ禍で一旦大幅上昇したが、これは部材価格高騰が影響していた。一旦それが沈静化したがまた上がっている。それは日本における人口減少・少子高齢化、それに伴い建築現場を請け負う側にも供給制約が起こっており、結果的に工事単価が上がっているという側面もある。こうした状況はコロナ前にもあったが、コロナ禍を経てより厳しい状態になっている。日銀が目指している好循環は、賃上げと価格上昇がそれなりにバランスが良い状態なので、ここから1年ほどが正念場になると思う。個人的には企業業績を見ている立場から見ると、4月以降、9月の企業決算はすごく良かったが、10月以降は自動車業界を中心にちょっとスローダウンするんじゃないかなとみている。スローダウンする中で春闘を迎えるが、そんな中で去年と同じくらい、もしくはプラスになるほどの賃上げが実現できるのかと言うが試されているところ。それが実現するような世界になってきて初めてちょっとノルムが形成されているのではないかとなる。でも実現できなければ景気が悪くなる世界に陥っていく可能性がある」などと話した。