ショパンコンクール“戦禍”の葛藤

2025年4月2日放送 4:45 - 4:52 NHK総合
国際報道 (ニュース)

美しい曲を多く生み出したポーランド出身の作曲家・ショパン。彼の作品だけが演奏される5年に1度のコンクールが今年開催される。「ショパン国際ピアノコンクール」は世界3大ピアノコンクールの1つで、若手ピアニストの登竜門といわれる。ただ今回の大会にはこれまでのコンクールとは大きく異なる事情がある。開催国・ポーランドの隣国、ウクライナでロシアによる軍事侵攻が続いていることだ。これまで多くの入賞者を出してきたロシアのピアニストの参加を認めるのかどうか、決断を迫られた主催者たちの葛藤を取材した。主催するのはポーランド国立ショパン研究所。今年2月、予選の出場者を選ぶための演奏動画による審査が行われていた。前回のコンクールでは53の国と地域から約500人がエントリー。予選と本戦を経て日本の反田恭平さんが2位、小林愛実さんが4位に入賞した。ところが、前回のコンクールの後、隣国・ウクライナでロシアによる軍事侵攻が始まり、ポーランドの状況は一変した。ポーランドは第二次世界大戦でソビエトに占領された歴史があり、国民の間でロシアへの警戒感がかつてないほど強まった。コンクールの運営を担うショパン研究所所長のアルトゥル・シュクレネルさんは「ポーランド国民として私達はウクライナ難民の支援に積極的に取り組み、ウクライナ人を兄弟として受け入れてきた。私達誰もが平和を望んでいる。」と話す。実はショパン自身もロシアの圧政に翻弄される人生をおくった。ショパンが生まれた19世紀初頭、ポーランドはロシアの支配下に置かれていたのだ。激しい曲調で知られる「革命のエチュード」は当時ポーランドを離れていたショパンが故郷でロシアに反発する蜂起が失敗に終わったときき、悲嘆と絶望のなかでかいた曲だ。今年のコンクールにロシアからの参加者を受け入れてよいのか、音楽に国境はないという信念のもと、世界に開かれたコンクールを続けてきただけにシュクレネルさんは葛藤した。一時はロシアからの参加者に「侵攻を支持しない」という声明に署名させるなどの案も出たが、議論を続けた結果、ロシア人との参加は認めないが「中立な個人」としてなら参加を認めるとした。その結果、この枠で11人が参加したという。苦渋の判断を迫られたシュクレネルさんはショパンの音楽には国を超えて訴える力があると信じている。


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