モーサテ プロの眼
テーマは「トランプ関税アジア新興国への影響」。貿易戦争の今後の展開について西濱さんは「中国が折れるということはまずないと見ていたのでアメリカ側から対中姿勢を軟化するメッセージが出てきたのはいいシグナル。現在は145%と異常な関税をかけるような状態。どこまで下げられるか見通せない。トランプ氏は報復合戦に入る前の水準は54%、大統領選の最中に言っていたのは最大60%、ここらへんがベンチマークになるのかなという見方。145%は中国経済に対するインパクトが名目GDP比で4%以上も悪影響がある。54%まで下げられると1.5%程度まで下がる。中国経済にとっても追い風になる。全人代で今年の中国の成長率目標は5%前後と言っていたので高関税になってハードルが高まったことを考えるとハードルは低下してきている。市場では6月にサプライズがあるのではと言われていた。6月14日がトランプさんの誕生日、6月15日は習近平さんの誕生日。イベントごとが好きなトランプさんがここで合意があるのではと言われていたが、このタイミングでいろんなメッセージが出てきたのは合意が早まる可能性はあるのかと」などと述べた。相互関税の対象には中国からの迂回輸出が指摘されているアジア新興国が含まれている。西濱さんは「アジア諸國はアメリカに対し交渉を進めている。高い関税を課せられているのがASEAN諸國。ベトナムとカンボジアは対米輸出額名目GDPを比は2割を超える。この2か国は米中摩擦の漁夫の利を得ていたと言われる。これが見えにくくなっている。ベトナムとカンボジアは影響が大きい。異常な関税をかけられた中国よりマクロ的には台湾の方が大きい。多くの国で深刻な影響が避けられない」などと述べた。習近平氏がASEAN諸國を歴訪。中国経済が減速すると依存度が高い国も影響が避けられない。西濱さんは「近年、中国向けの輸出もかなり依存度を高めてきた。中国はグローバルサウスで新興国への影響力拡大を目指してきた、かなり接近する可能性もある。中国は過剰生産能力を抱えている。中国のデフレの輸出がASEANの国、アジアに広がる可能性がある。中国のASEAN向け輸出はアメリカより多い。ASEANで加工してアメリカに持っていくもの、これがとどまるとASEANにおいても中国製品があふれる可能性がある。インドはマクロ的影響が低い。関税率も低い。中国と貿易戦争をすることを前提にインドに対し甘めに設定したのではないか。アップルがiPhoneの生産を中国からインドに移すという話もある。ただ一長一短。ASEANに中国製品が広がるとASEANを舞台にした日中の競争が起きることになる。トランプ関税をきっかけに業績に与える影響が増えてきた」などと述べた。