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「チョコレート大国」として知られるベルギー。ベルギー統計局によると国内では約770のチョコレート店がしのぎを削っている。世界で消費量が増加しているチョコレートだが2023年以降価格が上昇しているという。主な要因は原材料のカカオ豆の価格高騰だ。西アフリカでの天候不順などでカカオ豆は不作が続き、ロンドン市場の先物価格は去年4月中旬には1トンあたり約9900ポンドを超え過去最高を記録。その後12月から1月にかけても高騰するなど高値が続いている。ベルギーのチョコレート産業は対応を余儀なくされている。1956年創業のベルギー北武にあるチョコレート会社は国内だけでなくアジアにも輸出し去年の売上高は5500万ユーロ(約90億円)だった。この会社の対応策は手頃な価格の商品で多くの消費者に買ってもらうというもの。看板商品の100gの板チョコはこの1年半で60%値上げをし、現在約4ユーロ(約650円)。新たに売り出すのが内容量を70gに減らした板チョコ。価格は4ユーロ以下にし、この夏から販売する予定だ。チョコレートの製造工程を変え、原材料の高騰の影響を抑えた会社もある。小規模ながらこだわりのチョコレートを製造・販売しているメーカーだ。去年10月、原材料のカカオ豆を加工する専用の機械を14万ユーロ(約2300万円)で購入。去年10月からカカオ豆からチョコレートを生産できるようにした。カカオ豆の殻を取り除いて砕き、ペースト状に。さらに酸味を取り除き香りを引き立てるまで4つの機械を活用し約1日半かかる。他の会社が製造した加工用チョコレート製品ではなくカカオ豆を直接仕入れることで消費者価格を自分たちでよりコントロールすることができるという。カカオ豆の高騰の対応に追われるベルギーのチョコレート業界。今年に入ってアメリカの関税政策の影響が懸念されている。現在チョコレートのアメリカへの輸出にかかる関税率はトランプ政権が4月から一律に課した10%の追加関税により6%から16%に上がった。さらにEUに対し20%の相互関税が発表されているが、現在90日間停止されている。ベルギー王室御用達のチョコレート会社のひとつはココアバターを使った柔らかいチョコレートが特徴で世界に1200の店舗を構える大手。輸出先の約10%がアメリカ。まだ売り上げに大きな変化は出ていないが、すでに去年、カカオ豆の価格高騰によって10%ほどの値上げに踏み切っていて、さらに関税率が引き上げられた場合の影響は避けられないと考えている。