クローズアップ現代 中高年の心の危機 モヤモヤから抜け出すには?
千葉県に暮らす西村秀久さんは長年IT業界でキャリアを築き、2人の息子を育てあげた。西村さんお心の持ちようが大きく変わったきっかけは会社で受けたセカンドライフ研修だった。キャリアの意識を初めて意識して動揺した西村さん。ヒントがほしいと本を読みあさったが、答えは見つからなかった。4、50代になり体力の低下や仕事や子育ての区切りを迎えることで心に葛藤が生まれるミッドライフクライシス。身近な人との別れがその引き金になった人もいる。荒井美雪さんは40歳をすぎたことから仕事を辞め、両親の介護に専念してきた。看取りを終え今後の人生を考えていた矢先、50歳の妹もがんで亡くした。強い喪失感に更年期特有の不調も重なり、家から出られないほど塞ぎ込んでしまったという。その頃、唯一できたのはノートに辛い気持ちを綴ることだけだった。少しずつ気持ちが整理できるようになったという。
ミッドライフクライシスに陥る要因の一つとなっているのが脳の変化。脳の前頭前野と海馬は不安やストレスを抑える働きをしているため、加齢によって萎縮するとコントロールが難しくなるという。約400人の脳の変化を分析すると、知的好奇が強い人の方が前頭前野などの萎縮を抑えられていたことがわかった。過去を振り返ることで「自分はいったい何が好きだったのか」というものが見えて、ミッドライフクライシスを乗り越えるひとつのきっかけにはなる。過去を振り返る方法として今、注目されているのが自分史だ。10代の子ども2人を育てる佐藤さんは過去の出来事を振り返り、気持ちの浮き沈みをグラフにすると、最も線が下がったのは孤独な子育てに悩んでいた25歳ごろだった。下がると必ず上がることに気付いた。過去からやりたいことを見つけた。