FNSドキュメンタリー大賞 令和の開国〜外国人材が握る地方の未来
人口2.8億人のインドネシア。その半分は30歳未満という若く豊富な労働力を背景に経済発展を続けている。宮城県は現地政府と人材受入促進の覚書を締結していて、2024年にはジャカルタで就職説明会を初開催。93年に始まった技能実習制度では転職や家族の帯同が認められていなかったが、2027年に廃止される。新たに導入される「育成就労制度」では転職が可能に。この制度で来日を目指す外国人たちは、受け入れ先が決まるまでは現地の送り出し機関で学ぶ。入学費用は約23万円、ほとんどの人は借金で工面している。
国内の外国人労働者は2024年に過去最大の230万人に。その多くは都市部に集中していて、地方は危機感をつのらせている。人口の半数が65歳以上の高齢者という宮城県七ヶ宿町にある老人ホーム「ゆりの里」では、4人のインドネシア人が介護職員として働いている。施設側としても、近くのスーパーまで車で送迎するなど実習生をサポート。その1人であるヘンディさんは今後、介護福祉士の資格を取得するため東京に転職予定。永続的に日本で働ける在留資格を得るのが目的だが、勉強には苦労しているそう。
宮城県七ヶ宿町にある老人ホーム「ゆりの里」で働くインドネシア人・アルテルさん。このたび、神奈川県の介護施設に転職予定。ここで働き続けたいという思いもあったが、都会への憧れが強く決断したという。転職を認めない技能実習制度は人権の観点から問題視されてきたが、制度の改正に伴いこうした都市部を目指す外国人労働者は増えると予想されている。