池上彰の昭和100年&令和の挑戦者SP 未来を創れ!若きプロフェッショナル ニッポンの挑戦者たち
2023年に開校した神山まるごと高専。起業家の育成を掲げる全国でも珍しい学校。著名な経営者による授業などが行われ、11の民間企業が運営を支えている。学費は実質無償。奨学金の基金を設立し、パートナー企業から1社あたり10億円を寄付してもらっている。まるごと高専を仕掛けたのは東京にあるIT企業「Sansan」。社会を変えるのが起業家の使命なら山ほど課題を抱えた地方でやることにこそ意味があると、町の課題解決にも学生は一役買っている。熱い思いを持つ10代がやってきたことで地域にも活気が戻ってきた。2年生の山口空さんは中3の夏にまるごと高専を知り、ここしかないと入学を決めたという。今年1月下旬、空さんは同級生や後輩と5人でIT会社をスタートさせた。ビジネスパーソン向けに会社訪問をスムーズにするアプリを開発。スケジュール管理や目的地へのルート確認、入館まで全て1つのアプリで行えるという。会社訪問の余計な手間を省けるというのが売り。空さんはビジネスとしてやっていけるか学校の授業で富士通の役員らに相談した。役員からは「こういう製品だったらいくら払うがほしい。それがなかったら全部アウト」などと厳しい言葉が投げかけられた。空さんは「厳しい視点からのフィードバックはありがたい」などと話した。空さんは多くの企業を訪問する父親のためにこのアプリを考えたといい、「求めてくれる人が一番近くにいるのでまずは形にする」などと決意を述べた。
大阪・夢洲は4月から始まる「大阪・関西万博」の建設現場。ここでも神山まるごと高専の学生が奮闘している。徳島県からパビリオン製作の依頼があり、校内で募集して4人が選ばれた。担当しているのは関西の魅力を発信するパビリオンの徳島エリア。伝統工芸や特産品など地域の魅力を発信する空間の演出やデザインを任された。その中でひときわ頭を悩ませているのが1年生の藤原六花さん。展示する台の製作を担当する。デザインを「水」にまつわるもので統一しようと考えていた。デザインと起業の両方に興味を持ち入学した六花さん。講師である建築家・溝端友輔さんと共に進める。渦潮をイメージした台は回収したペットボトルを材料に3Dプリンターで製作。さらにここへ徳島の伝統工芸「藍染」により水のグラデーションを強調する。六花さんは「高専生がやったということで、自分にもできるという可能性が広がるきっかけになればいい」などと話した。