ワールドビジネスサテライト (ニュース)
東京電力・福島第一原子力発電所の処理水の海への放出が始まってから明日で1年となる。処理水の放出に反対し日本産水産物の輸入禁止措置を続ける中国。おととい、北京に初出店した日本の回転ずしチェーン大手のスシローでは開店前から長蛇の列ができ、昼過ぎには入店まで11時間待ちに。日本産水産物の禁輸措置を受け使用するのは主に中国産の魚である。1年前に始まった東京電力福島第一原発の処理水の放出直後、中国のSNSでは動画の拡散に加え中国政府が処理水のことを「汚染水」と繰り返した結果、中国の消費者の間では日本産だけでなく中国産も含めた海鮮離れが深刻となった。今月、北京市内に2号店がオープンしたはま寿司の前にも多くの客がいた。客は「誰も話題にしていない、国内の食品事故が多いのに外国ばかり批判しなくていい」や「処理水に問題があれば健康被害はでているはず」などの声があった。
北京市最大の海鮮市場では客の姿が戻り業者が商談する姿も多く見られる。ホタテの販売業者は禁止されている日本産ホタテの販売を続けていると証言した。中国政府は処理水放出前に輸入した日本産水産物の加工や販売までも禁止にした。その影響で禁輸から1年たった今でもそれまでの在庫をさばききれず、日本産を中国産と偽って違法に販売している。テレビ東京は去年9月にも日本産のホタテを偽装して売っていた業者を取材。禁輸措置により苦境に立たされたホタテ業者が違法行為に手を染めている実態を明かしていた。禁輸前は年間10万トンが日本から輸入されていた冷凍ホタテ。日本産は身が大きく人気で業者にとっても貴重な収入源だったという。1年後こうした業者からは処理水をめぐる問題の解決を期待する声も聞かれた。全国漁業協同組合連合会・坂本会長が齋藤経産大臣を訪問。中国による禁輸措置解除に向け、改めて政府に対応を求めた。