モーサテ マーケット・シグナル
きょうのテーマは「出口見えぬガイダンスリスク・カギは価格転嫁力」。株式市場が警戒感を強めている背景には、関税合意の翌日24日に発表された3社(信越化学工業、三菱自動車、キヤノン)の決算発表がある。発表翌日の株価は3社とも大きく下落。信越化学の2026年3月期業績予想は塩化ビニール樹脂の需要がアメリカで低迷していることなどから減収減益の予想で市場予想を下回った。キヤノンは今期2度目の下方修正を発表、オフィス向けインクジェットプリンターなどでアメリカに加えヨーロッパやアジアでも設備投資を手控える動きが出ている。関税合意直後のため日本を含めた関税率は基本的に10%で計算されている。三菱自動車の営業利益は厳しいスタート。関税だけではなく為替が円高に推移したことや販売促進費が増えたことが利益を押し下げ、通気予想に対する進捗率は5.6%。関税率引き下げに伴う影響など最低1カ月程度かけて業績予想を精査するとしている。先週アメリカ・ベッセント財務長官は「日本が合意を守らないなら自動車やその他製品の関税は25%に戻る」などと発言したことを受け、25日は売りが相次いだ。マツダやSUBARUの下落率の大きさが目立つ。一方、ニデックとファナックの25日の株価は上昇。ファナックは4ー6月期は増収増益で受注高は5四半期連続でプラス、2026年3月期業績予想は関税率15%で予想し関税コストは値上げで価格転嫁する方針を強調した。ファナック・山口賢治社長は「(アメリカ・ロボットのシェア定価は)一定程度は心配している。(7月以降の需要は)高く続くと見ていない」とした。三菱自動車とキヤノンは関税コストの価格転嫁のハードルは高いとしている。ファナックはアメリカでのロボット生産を検討しているものの、部品に関税がかかると価格競争力の確保が難しいと明かし、キヤノンも同じ悩みに言及している。