NHKニュース おはよう日本 イラスト解説 ここに注目!
アメリカが広島・長崎に原爆を投下してから80年。核兵器廃絶を求める被爆地のメッセージが伝えられる一方で、核軍縮を巡る状況は厳しさを増している。最も懸念されているのが核のタブーが崩れつつあること。核兵器の非人道性は広島・長崎の被爆者が声を挙げることによって全世界に伝わり核のタブーの背景となった。核保有国でさえも核戦争は戦ってはならないという原則を認めてきた。しかし、核大国ロシアでウクライナに軍事侵攻している。インド・パキスタンという事実上の核保有国同志の軍事衝突も起きている。さらに核軍縮の枠組みも危機に瀕している。具体的には英露の戦略核を宣言する条約。2011年に発行した米ロの最後の核軍縮条約。来年2月に期限を迎える。条約が延長で合意しなければ条約は効力を失い米ロの核兵器の数を制限する重役はなくなってしまう。世界で核兵器の86%以上は米ロが所有し、中国は核弾頭の数を急速に増やしている。しかもロシア・中国・アメリカは極超音速ミサイルなど核兵器の近代化を進めている。アメリカ・トランプ大統領とロシア・プーチン大統領が新たな核軍縮への合意に意欲は示しているが、本格的な交渉さえ始まっていないのが実情。広島の平和宣言では被爆者で4年前に亡くなった坪井直さんの「ネバーギブアップ」など被爆者の言葉を引用し核廃絶への被爆者の思いを伝える。また、長崎では地球市民の視点から核戦争への危機感を表明し世界各地の紛争の即時停戦を呼びかける。人道に反する核兵器を使ってはならない・使わせてはならない厳しい状況だけに被爆の実情を伝える広島・長崎からのメッセージが重要性を増している。