原発事故13年 娘を捜す父「語り継ぐ」決意

2024年3月11日放送 23:26 - 23:35 日本テレビ
news zero #いのちともに守る

木村紀夫さん(58)はあの日、福島県・大熊町に住んでいた。自宅があったのは線量が高く、今も立ち入りが制限されている「帰還困難区域」の中。そのため許可なしに入ることはできない。見えてきたのは福島第一原発がある大熊町。自宅を案内してもらうと、海から100mほどの距離にあった家は津波で流された。裏山に建てられていたのは慰霊碑。津波に飲まれた父・王太郎さんと妻・深雪さんは約1ヶ月後遺体で見つかった。ただ小学校1年生だった汐凪ちゃんはまだ見つかっていない。県外に避難したあとも被ばくの危険にさらされながら木村さんは何年も汐凪ちゃんを探し続けた。その後ボランティアや重機が入っての捜索が行われ、震災から5年9ヶ月、マフラーが見つかり、その中から首の骨のひとかけらが出てきた。そして2年前には汐凪ちゃんの太ももの骨が発見された。ただ見つかることで湧き上がる複雑な思いも。木村さんは「彼女が津波で犠牲になったのか、ここに置き去りにされたことで亡くなったのかわからなくなった。そういう状況を生んでしまったのは明らかに原発事故が原因と言える。」と話す。いま語り部として活動している木村さん。そのときに案内しているのが汐凪ちゃんが地震の直前まで過ごしていた小学校。あの日から時が止まった教室。木村さんはこの場所だから伝えられることがあると言い、「原発事故によってこの教室がいまだにこういう状況で残っているのはここだけの問題ではなく、電気を使っている皆さんの問題でもある。良いとか悪いとかではなく、自分たちはどういう社会をつくっていくのか1つの提案ができる場所。」と語った。年間120回に及ぶ語り部活動。突き動かすのはある後悔だった。木村さんは「過去に犠牲者を出した津波は福島にも津波があがっている。自分たちは知らなかっただけ。それを知っていたら家族に「地震が来たら家に戻っちゃいけない」と話ができていたと思う。それができていなかったことが1番後悔していること。」と話す。ことし元日、いまだ8割が見つかっていない汐凪ちゃんの遺骨を探していたときには能登半島地震が発生。いつ起きてもおかしくない大災害。木村さんが目指すのは誰も犠牲にしない防災。木村さんは「100%命を守る答えは出ないが、それに向かってできることはある。」と話した。


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