名目GDPドイツに抜かれる 日独20年の経済史が示す教訓

2024年2月20日放送 14:05 - 14:14 NHK総合
時論公論 (時論公論)

日本の去年のGDPは名目でドルに換算した数字でドイツに抜かれる形となった。2期連続でマイナス成長となった要因は個人消費が-0.2%と落ち込んだこと。さらに企業の設備投資は-0.1%、住宅投資は-1.0%と伸びなかった。日本の名目GDPをドイツが上回った大きな要因はこの3年で約30%の円安が進んだことで、ドル換算の数値が大幅に目減りしたこと。ただ、去年は日本は実質プラス成長、ドイツはマイナス成長だったので「ドイツは良くて日本はダメ」を意味するものでもない。過去20年でドイツの経済成長をもたらした要因として指摘されるのが2005年まで続いたシュレーダー政権による構造改革とEU市場の存在と単一通貨ユーロの導入。
日本でも人手不足が問題となる中で労働力のスムーズな移動が課題となっている。労働市場の課題に応じた改革を通じ、企業の収益力を向上させていく必要がある。貿易面では、自由貿易協定を結ぶもEUほど使い勝手はよくない。地域レベルでの輸出相談窓口強化などきめ細かな政策を行い、小規模な企業を含めて輸出拡大することが求められる。
名目GDPは物価上昇でより大きくなる。日独の年ごとの物価上昇率推移をみると、日本はデフレマインドが続く中、おおむね0%前後で推移してきたのに対し、ドイツは1度もマイナスに陥ることなくほとんどの年で日本を上回った。ドイツ企業は物価上昇の中で常に賃金引き上げ要求にさらされ続け、企業は賃上げ原資を生み出すために利益を増やす必要に迫られ、生産性向上に力を注いだ結果、付加価値の高い製品を生み出し収益力を向上させた。もう一つの違いが、日本ではデフレで低金利が続いたこと。労働生産性で日本は先進7か国の中で最も低くなっている。これからは賃上げ原資を生み出すために生産性・収益力向上が否応なく求められることになる。


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東南アジア諸国連合国内総生産欧州連合ゲアハルト・シュレーダー環太平洋パートナーシップ協定

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