有働Times (ニュース)
山中伸弥教授の解説。iPS細胞を使用した網膜と角膜の治療は臨床試験が進んで企業が承認申請を目指しているが、承認までの期間はケースバイケースで予想できないという。日本では新しい治療法に対して「条件付き承認」という新しい方法が作られた。仮免許のようなものを与えて特定の病院で実際に保険診療も行えるようにする仕組みで、5~10年後に本免許を取れるかどうかの2回目の審査がある。一方、50代で見られる膝の痛みについて山中教授は「60・70代でのいわゆる変形性の関節症は膝の関節全体がなくなってしまったり薄くなってしまう。そのため細胞だけではなく色んな薬やリハビリ、手術などを総合的にやる必要がある」などと話した。山中教授は本人からiPS細胞を作っておいて、病気になった時にそれぞれ必要な細胞を作って移植することも目指している。iPS細胞を作ることについては、来年くらいには1人当たり100万円程でかつ1か月程度でiPS細胞を作れるようになるという。ただ各部位の細胞を作ってそれを移植する第2段階があるため、トータルでみると更に高額になる可能性はあるという。山中教授は再生医療全体について「経済的効果は非常に大きいと期待されている。ただ米国を中心にどんどん新しい治療ができてどんどん高額になっている。1人当たりの治療費が天文学的に上がっているので、iPS細胞を使った治療もそうなってしまう可能性はある。僕たちはなんとかそれを少しでも良心的な価格で患者に届けたいと思っている。そのためにiPS細胞を先ほどのような非常に抑えた価格で企業に提供することを行っている。寄付という形でも応援していただけると非常にありがたい」などと話した。
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