時論公論 (時論公論)
津波防災の日のきょう各地で訓練などが行われた。国は南海トラフ巨大地震では死者29万8000人に上るという新たな想定を公表している。東日本大震災の被災地では緊急の措置として仮埋葬が行われた。犠牲者は宮城県沿岸の6市町で計2108人に上った。その後改めて火葬が行われたが普段通りの葬儀が行えない事態は多くの遺族が心を傷めることになった。宮城県の震災対応記録によると震災直後の火葬場受け入れ可能総数は1日50人程度まで減少。県は全国知事会に全国知事会に支援を要請し9都道県で受け入れが決まった。しかし火葬開始は1か月後だったため県は仮埋葬を進めた。この事態を教訓に全国で対策が進み2023年に全国の都道府県で計画の策定が完了した。南海トラフ巨大地震で全国で最も高い津波が想定される高知県ではことし9月、11年ぶりに広域火葬計画を見直した。しかし多くの県と訓練は行えておらず広域火葬には課題が多く残されている。
先月24日、徳島県で災害時の身元確認訓練が行われた。津波災害の場合は歯科医師の歯科所見も重要で東日本大震災では1200人余りの身元が歯科医師のよって特定された。しかし徳島大学・高野栄之専門研究員の試算の結果、南海トラフ地震では435の歯科医院の69%にあたる300施設が浸水被害を受けることがわかり、徳島県は身元確認にあたる歯科医師を十分確保できないおそれがある。そこで高野栄之医師らが進めるのは遠隔身元確認。徳島大学・大阪大学・東北大学が連携し新たに開発したAIでデンタルチャートを作成し遠隔で身元確認を進める。
