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オーストリアの世界遺産「エッゲンベルク城」の壁に「豊臣期大坂図屏風」がある。全部で八曲の屏風はバラバラに配置され、描かれているのは豊臣秀吉時代の城下町。発見当時から城の博物館に勤めているパウル・シュスター館長は屏風の保存状態は奇跡だという。なぜ屏風は日本からオーストリアへ渡ったのか。ドイツ・ケルン大学のフランチィスカ・エーケム元教授は日本の研究者とともに屏風を特定した。大阪城の天守閣の形や色鮮やかな極楽橋の位置、派手な着物の柄などから、豊臣秀吉の時代の大阪を描いたものだと考えた。屏風は390年ほど前、オランダの貿易会社「東インド会社」によって、ヨーロッパに輸出された説が有力とされている。エーケムさんは、豊臣の栄華を描いたこの屏風は、あえて輸出されたのではないかという。日本とオーストリアを結ぶ屏風は今回の万博でオーストリアパビリオンではデジタル映像を組み合わせる最新の技術を使って、屏風のの中の大阪を蘇らせようとしている。パビリオンの展示などを担当しているアルフ・ネテックさん。オーストリアが展示するのは本物と同じお大きさの屏風のレプリカ。そこにスマートフォンをかざすと、紅葉が舞い散る京都・宇治の平等院を行き来する旅人たち、別の場所にスマートフォンをかざせば、豪華な御座船などが行き交う大川(旧淀川)の発着場で荷下ろしをする人の姿などがいきいきと浮かび上がる。ネテックさんは「来場者は屏風を通して、ファンタスティックな旅ができ、大阪の黄金期に触れることができる。屏風は両国の関係を示すまさにぴったりの展示物だと思った。万博は文化や国が違う人々を結びつけ、互いを知るための良い手段です」と話した。