サタデーLIVE ニュース ジグザグ ジグザグ考論
石破総理は戦後談話をどうすべきかを考える。法政大学大学院・白鳥浩教授(日本政治法律学会理事長)、元外交官・宮家邦彦(安倍政権の70年談話有識者懇談会のメンバー)を紹介。これまでの戦後談話は時の首相が歴史認識などをまとめ、閣議決定を行って国の内外に発信するもの。石破総理は談話に関しては見送る方向で調整しているが、見解を出すことに意欲を示している。石破総理の根底にある思いは2人の父(父・石破二朗氏、政治の父・田中角栄元総理)の言葉を引用。なぜ戦争に至ったのか、途中でやめられなかったのか今を逃して戦争の検証はできないとしている。
石破総理は戦後80年の見解を出すべきか。法政大学大学院・白鳥浩教授は出すべき。「日本がなにを考えているかを示す意味でも出すべき」。元外交官・宮家邦彦は出さないべき。「出す意味をよく考えないといけない。戦争の検証は国際的な要素と国内的な要素、責任がある。問題は国内の政治責任で、内閣総理大臣が談話や見解として出すことではなく、国会が出すこと。戦後の国際社会で主権国家として謝罪をしたのは日本だけ」。金子恵美は出さないべき。「談話であろうが見解であろうがメッセージを出すこと自体が意味をもつことになってしまう」。リディラバ代表・安部敏樹は出すべき。「出さないというのがどういうことか聞いてみたい。記録だけでなく、記憶も含めて戦争のことをしっかり覚えていく、それを見直していくためには節目のタイミングで国家として議論していく場があったほうがいい」。法政大学大学院・白鳥浩教授は「平和国家日本としてどのように平和を世界に伝えていくか。アジアの近隣諸国とともに平和のムードをつくっていくかというメッセージを出していく必要がある」。
これまでの戦後談話を振り返る。戦後50年(1995年)村山談話では植民地支配、侵略、反省、お詫びとアジア諸国への謝罪(文字数約1300)。戦後60年(2005年)小泉談話では村山談話を引き継ぐ(文字数約1100)。戦後70年(2015年)安倍談話では先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと謝罪に区切り(文字数約3400)。この年の2月から6月に有識者懇談会を計6回開催。法政大学大学院・白鳥浩教授は「戦後80年だけでなく、自民党結党から70年、戦争と平和のあった昭和100年という区切りでもある」。元外交官・宮家邦彦は「区切りというならどうして1955年の段階でやらなかったのか。政治家として議会で議論すべき」。
談話は閣議決定を経て行われる。広島平和記念式典での石破総理のスピーチを紹介。法政大学大学院・白鳥浩教授「手続き的に今回は談話にはならないのではないか。閣議決定していない河野談話に近い形の談話も取れるかもしれない」。元外交官・宮家邦彦「10年おきに談話を出すか出さないかの議論に関心のある国はほとんどないと思う」。
見解を出すのであればどのような内容であるべきか。法政大学大学院・白鳥浩教授「未来志向」。日本がどのような国家を目指していくのか。何のために謝罪をしているのか。国家としての未来へのメッセージを示していく必要がある。日本も平和について考えているというメッセージとして出せる機会。元外交官・宮家邦彦「過去の談話を維持していく」。未来志向の議論は戦後一貫して話してきていることをわざわざ今言わなければいけないというのは理解できない。金子恵美は「平和外交をどうしていくのかという強い意思を表明するものであればいいが、今の段階では石破総理が何を出すのか真意がわからない中でリスクしか感じられない」。