政府の備蓄米放出前に 高値の影響 今年も各地で 老舗おにぎり専門店は

2025年3月7日放送 21:17 - 21:25 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

備蓄米の放出で価格の上昇は落ち着くのか。今日、発表された調査では生産者や卸売り業者などの間で「価格上昇の勢いは弱まる」という見方が広がっていることが分かった。その一方で今年秋の新米については早くも各地で獲得競争が激化。東京・浅草にある老舗のお握り専門店。場所柄、多くの外国人観光客の姿も。70年以上の歴史がある店は創業以来ここまでの価格上昇は初めてのことだという。おにぎり専門店・三浦洋介店主は「出された値段で買うしかない。諦めというか、しょうがない。心的にはお客さんごめんねというのが一番大きい」と語った。各地の小売り店でも。広島・広島市内のスーパーでは去年の同じ時期と比べ2倍近くに価格が上昇したという。毎週日曜日に行っていたコメの特売も去年9月以降、実施できていない。全国有数の米どころ新潟・南魚沼市ではコメを返礼品とするふるさと納税に寄付が殺到。約3000品目のうち2900品目ほどで受け付けを停止していて再開の見通しは立っていない。南魚沼市役所・齋藤昌宏さんは「ほとんどの事業者でコメの在庫が無い。非常にもどかしい状況」と語った。こうした中、コメの価格の動向に変化の兆しが。きょう発表された、向こう3か月の価格の見通しを示す指数。コメの生産者や卸売り業者などを対象に調査し高くなるという見方が強くなるほど100に近づく。今回は54となり前の月の77から大幅に低下。コメの価格は今と同じ程度の高い水準で推移するものの来週入札が実施される備蓄米の放出で上昇の勢いは弱まるという見方が広がったのではないかと見られる。コメの販売店からは期待の声。コメ販売店店主・本橋茂さんは「みんなが苦しんでいるので値段が下がってくれればありがたい」と語った。一方、ことしの新米については、この時期から早くも獲得競争が激化。茨城・つくば市の農業法人では、これまで取り引きのなかった卸売り会社の担当者が買い付けに訪れていた。焼き肉店の全国チェーン向けにコメを確保しようと全国各地の農家を訪ねているという。卸売会社の担当者は「危機感をもってなるべく早めにコメを集め安定的な供給を続けていきたい」と語った。業者からの新米の注文は例年夏ごろが多いというが今年は先月ごろから問い合わせが増えている。農業法人・海老澤信之社長は「まだ種まきもしていない状況。それだけ業者もみんな心配しているのかな」と語った。JAも新米の確保に動いている。日本一の産地・新潟県では農家からの買い取り価格にあたる概算金を一般のコシヒカリでは去年示した額から3割以上引き上げる方針を固めた。農家に対し各農協へのコメの出荷を促すねらいがある。さらに今あるコメについては転売目的と見られる動きも。茨城・結城市のJAの直売所では1月、片言の日本語で30キロの玄米を100袋売ってほしいと電話があり、その場で断ったという。その後、電話をかけた人物と同じと見られる外国人客が直接店に訪れたが店側は転売目的ではないかと考え再度断った。直売所・宮田裕司店長は「“100袋・玄米”となると自家消費とは考えられなかった」と語った。その後、転売対策として一日に購入できるコメを10キロまでに制限している。江藤農林水産相は会見で消費者の間で新米を買い急ぐ動きがあると指摘されたのに対し「まったく不安視する必要はないと固く信じている」と語った。備蓄米は今月下旬以降、スーパーの店頭などに並ぶ見通し。価格上昇の勢いは弱まるという見方もありるが本当にどこまで価格の安定につながるのか注目される。


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