NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
国は法律で、障害がある人が望んだ地域で暮らせるようにするという方針を掲げているが、入所施設やグループホームの利用を希望しながら待機状態にある障害がある人は、去年、NHKが専門家と行った調査で、全国に少なくとも延べ2万2000人余りいるとみられている。厚生労働省はこうした現状を踏まえ、都道府県や政令指定都市など合わせて129の自治体を対象に、入所施設の待機者の状況について初めて調査を行った。それによると待機者の人数について、62%にあたる合わせて80自治体が「把握している」や「一部把握している」と回答した一方で、38%にあたる49自治体は「把握していない」と回答した。また、把握しているとした自治体に、どのような場合に優先的に入所させるかを定めた緊急性の基準があるかを尋ねたところ、およそ7割の自治体が「ない」と回答した。さらに待機者の定義について、申し込みをしているが入所できていない人としたり、緊急性があるが入所できていない人としたりするなど、定義自体にばらつきがあることが分かった。今回の調査結果について、佛教大学・田中智子教授は「親が80歳を超え、なお子どもと同居しながら自身の健康や命と引き換えにしながらケアを担っている状況が地域には散見される。自治体任せにするのではなく、国が主導して明確な基準や方法を定めていくべき問題」と述べた。