ワールドビジネスサテライト (ニュース)
きょう閣議ッ決定された新たな経済対策。物価高対策として電気ガス料金の補助を1月から再開することや住民税非課税世帯に1世帯あたり3万円を目安に支給することを盛り込んだ。大きな柱の一つが半導体やAI(人工知能)分野への支援。2030年度までに補助金や金融支援を合わせて総額10兆円以上の支援を行うことを決定した。今回の経済対策で変化したのが政策の決定プロセス。自民・公明両党は少数与党として野党の賛同がなければ予算案を通すことができない。そのため国民民主党を含む3党で事前協議を重ね、いわゆる「年収103万円の壁」の見直しが経済対策に明記された。民間資金と合わせた事業規模はおよそ39兆円。一般会計からの支出は去年を上回る13兆9000億円規模となった。立憲民主党・野田代表は「最初から規模ありきで進んできたように思う そのへんも十分チェックしていきたい」等と話していた。
新たな経済対策。今週、警視庁が家宅捜索したのは栃木県や茨城県にある金属買取店。今、全国で銅の盗難が相次いでいる。銅線など金属ケーブルの盗難事件は今年、全国でおよそ6000件発生。埼玉・熊谷市のリバーの電化製品のリサイクル工場でパソコンを解体して出てきたのが基板。パソコンやスマートフォン、半導体など電気を使う部品に必ず用いられるのが銅。高性能な電化製品の普及とともに銅の価格は、この20年でおよそ5倍に上昇した。三菱マテリアル・高見卓弥さんは、EV需要の高まりで銅の使用量も今後伸びる見込みだと話していた。この工場でも銅を含むリサイクル品の価格がこの1年で3割ほど上昇した(出典:LME)。ある調査によると、世界で銅の需要が供給を追い越し2035年には1000万トンが不足するとされている。経済産業省は今回初めて銅の鉱山の権益確保に乗り出す。予算規模は数千億円。開発が進んでいないアフリカの鉱山をターゲットにしている。住友商事は銅鉱山の権益を政府と共同で確保しリスクを分散させながら購買力を強化したいと考えている。
逆転の発想で銅の供給不足を乗り切ろうとする動きもある。日本のスタートアップ、エレファンテック銅の使用を減らす技術を持っている。エレファンテックは絶縁体のフィルムに銅を印刷し回路を作るという。電気が通る基板上の回路は銅でできている。通常の回路の製法ではベースである絶縁体の一面に銅を貼る。その後、レジストと呼ばれる薬品を塗り特殊な光を当てることで不要な銅を溶かして除去する。残った部分が回路、つまり銅線となるが大量の銅を廃棄しているのが現状。一方、エレファンテックの製法は、インク状にした銅を必要な部分にだけ印刷して回路を作る。これにより、銅の使用を通常より7割削減できるという。今後は量産化を進めていくにあたりばく大な設備投資の資金が壁となっている。新たな経済対策では、こうした課題にも対応を進める。スタートアップへの支援は、これまで研究開発段階が中心だったが今回、量産化に向けた設備投資も補助する方針を初めて盛り込んだ。