クローズアップ現代 知らない間に火葬された “あふれる遺体”相次ぐトラブルの実態
去年全国で亡くなった人は159万人を超えて過去最多を記録、多死社会となっている。親族なのどに連絡がないまま自治体が火葬を進め、後でトラブルになる事態がこの5年で少なくとも14件起きていた。
仕事でオーストラリアに住んでいた近藤由理さん。茨城県で一人暮らしをしていた母と日常的にやり取りをしていたが、突然返信がなくなり電話に出なくなった。由理さんは友人に頼んで警察に通報し、家の中を調べてもらったが母の姿はなかった。由理さんは救急搬送の記録を調べると、突然の血管の疾患で亡くなっていたことが分かった。由理さんはすぐに帰国すると、母が火葬されていたことを知る。母は自宅のある鹿嶋市から隣の神栖市の病院に搬送されて亡くなっていた。病院は由理さんに対して母のスマホのロックが解除できず、連絡ができなかったと説明している。遺体の引き取り手がわからない場合、亡くなった場所の自治体が火葬などを行うことが法律で決められている。今回は病院のある神栖市が行うことになった。神栖市は自宅のある鹿嶋市に対し、親族の情報提供を依頼した。鹿嶋市からは長女の登録されている電話番号が使われていない、親族が確認できなかったとのこと。その結果、神栖市はすぎに対応できる身寄りはないと判断し、亡くなった2日後に火葬した。その後、由理さんは無縁墓地に収められていた母の遺骨を引き取り、改めて葬儀を行った。
京都で一人暮らしをしていた今西一さんはおととし、心筋梗塞で亡くなった後、京都市に身寄りなしと判断され火葬された。今西さんの自宅から車で10分ほどのところには弟夫婦が住んでいて、亡くなる5日前にも会っていた。弟夫婦は京都市に経緯の説明を求めた。京都市では葬儀を行う人がすぐにわからない場合、戸籍を調査して親族を探す運用を行っている。今西さんの戸籍に記されていたのは亡くなった両親だけで、弟の名前はなかった。弟は結婚を機に親の戸籍を外れていた。弟の存在は古い戸籍に記載があったが調査に時間がかかるため、京都市はそこまで行っていなかった。