NHKニュース7 (ニュース)
ウクライナ国内にある鉱物資源。この権益を巡って、アメリカはウクライナへの圧力を強めている。ウクライナに対して強硬ともいえる発言を続けるアメリカ・トランプ大統領。21日、FOXニュースのラジオ番組のインタビューでは、「プーチン大統領が望めば、ウクライナ全土を手に入れられる」とも述べた。また、ロイター通信が伝えたのは、ウクライナ国内の鉱物資源の権益を巡る協議でのある発言。トランプ政権の交渉担当者がウクライナ側に対し「協議が合意に至らなければ、衛星を使ったインターネット接続サービス、スターリンクを遮断する可能性」に言及したという。スターリンクはウクライナ軍も使用していて、トランプ政権としては、この話を持ち出すことで、ウクライナ側に圧力をかけ、協議を有利に進めるねらいもあると見られる。ただ、ウクライナへの厳しい姿勢の裏では、こんな報道も。NBCテレビは複数の当局者の話として「将来、ロシアが停戦合意したあとに再び侵攻した場合、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)への加盟を自動的に認める案を、トランプ政権が検討している」と伝えた。そのねらいについて当局者は、ロシアが再びウクライナに侵攻するという、ウクライナや同盟国にとっての重大な懸念を解決するためだとしている。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領はこれまでアメリカとの関係改善を図りたい考えもにじませているが、国内からはアメリカとロシアがウクライナ抜きで停戦を巡る会合を行ったことに、反発の声が上がっている。今週、ウクライナで行われた世論調査では、この会合に「反対」と答えた人が91%に上った。こうした中、ゼレンスキー大統領は21日、ポーランドやスウェーデンなど、8か国の首脳らと相次いで電話会談を行ったと発表。各国からの支持の取り付けを急いでいるものと見られる。それでもウクライナにとって、アメリカからの支援は不可欠。ゼレンスキー大統領と近い、ウクライナ最高議会・ステファンチュク議長は、鉱物資源に関する協議を巡り、アメリカとの協定締結に向けて、週明けから、専門のチームによる作業を本格化させると明らかにした。その上で、「協定締結には、鉱物資源の権益とアメリカによる安全の保証がセットであるべきだ」と強調した。そして、トランプ大統領との早期の首脳会談に期待を示した。