モーサテ プロの眼
佐野一彦さんは「本日は、市場のコンセンサスでもある世界経済がソフトランディングに沿った際の短期金利について考察したいと思います。ソフトランディングについてですが、アメリカは景気は緩やかに減速し、インフレ圧力も緩和し、FRBは9月から利下げを開始します。欧州は景気を持ち直し、今月から利下げを始めたECBがゆっくりと緩和を継続します。我が国の政策金利の行方ですが、比較的早期に、日銀が政策金利を1.0~1.5%に引き上げると仮定して、そこまでの間は緩和的と言えるでしょうから、FRBが今後利下げをしても日銀の利上げの妨げにはなりにくいでしょう。長期金利は滞在成長率と予想物価上昇率で決まり、内閣府の試算の潜在成長率0.5%、市場の予想物価上昇率1.5%で計算すると、長期金利は2.0%となります。日銀が国債を大量に保有するストック効果で、長期金利は概ね1%程度押し下げられています。これをそのまま信用すると、長期金利は1.0%です。長期金利の上昇率が限定的にとどまると、イールドカーブは逆イールドが生じることになります。逆イールドになると、逆ざやで債権などの運用が困難となりますが、預金金利が上がり、固定型住宅ローンや選択増加の可能性があります」などと話した。