遺族が社会に投じた一石とは

2024年7月4日放送 7:24 - 7:31 NHK総合
NHKニュース おはよう日本 (特集)

犯罪被害者を巡る現状について。想像を絶する経験をしたある遺族の訴えが今、社会に一石を投じている。三重県に住む寺輪悟さん。次女の博美さんは11年前、突然命を奪われた。3日前に15歳の誕生日を迎えたばかりだった。事件が起きたのは2013年の夏休み。博美さんは花火大会から帰宅する途中、近所に住んでいた見ず知らずの男子高校生に襲われ、殺害された。それから10年。博美さんの命日を目前に控えた去年8月、寺輪さんは思いがけない出来事に直面する。仕事からの帰り道、道を歩く1人の男性に目がとまった。それは娘の命を奪った元少年だった。仮釈放になり、元いた場所に戻ってきていた。この少し前、仮釈放が許可されたという通知を受け取っていた寺輪さん。元少年の両親が県外に転居したと聞き、仮釈放になっても会うことはないと思っていた。湧き上がる憎悪にブレーキをかけたのはそのとき偶然鳴った電話だった。寺輪さんのやり場のない思いを受け止めた人がいる。長年、犯罪被害者支援に携わり、事件直後から寺輪さんたち家族を支えてきた臨床心理士のみえ犯罪被害者総合支援センター副理事長・仲律子さん。寺輪さんの話を聞いて、仮釈放を巡る今の制度には課題があると感じた。加害者は仮釈放されると保護観察の対象になるが、住む場所は本人の希望を基に決められる。被害者や遺族が住む場所などについて意見を述べられる制度はあるが、どこまで生かされるかは分からないうえ、仮釈放が許可された理由や住む場所などの加害者に関する情報は原則知ることができない。寺輪さんが経験したことは制度上、ほかのケースでも起こりうる。
自分と同じ思いをする被害者を二度と生みたくない。寺輪さんは仲さんや弁護士と相談し、先月、法務省に申し入れを行った。求めたのは被害者に仮釈放の判断の理由を通知すること。そして、仮釈放中に加害者が被害者の近くに住む場合には、理由とともに通知することなど。加害者の居住の自由を前提としてせめて被害者の心情にも配慮してほしいと訴えた。専門家は寺輪さんの経験したことや訴えを踏まえて対策を整備するべきだと指摘する。寺輪さんはこれまでも司法や行政の手続きの際に再び事件当時に引き戻されるようなつらい思いを何度もしたそう。この被害者が声を上げなければ変わらないということではなく社会の側がもっと想像力を働かせて、仕組みを作っていかなければならないと思う。


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法務省朝日町(三重)千代田区(東京)寺輪博美みえ犯罪被害者総合支援センター琉球大学小泉龍司

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