NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
韓国のユンソンニョル大統領は昨夜、「一切の政治活動を禁じる」などとした非常戒厳を宣布すると明らかにしたが、けさ早く再び会見し、閣議を通じて「非常戒厳を解除する」と発表した。韓国の通信社・連合ニュースは、「閣議が開かれて非常戒厳は解除された」と伝えた。一夜明けたけさも、国会の前では多くの人が集まって声を上げていた。韓国メディアは警察の集計として、「国会付近に4000人の市民が集まった」と明らかにしたと報じている。一方で、国会から数百メートル離れた所には金融街やデパートなどが建ち並ぶ地区があるが、そうした所では普段と大きく変わった様子は確認できず、町行く人も落ち着いているように見えた。ユン大統領は、来年の予算案に合意しないなど野党の一連の対応を批判した。韓国で非常戒厳が出されたのは1987年に民主化が宣言されて以降、初めて。戒厳司令部は布告令を出し、国会や地方議会での一切の政治活動や社会の混乱を助長するストライキや集会などを禁じるとしている。また、すべてのメディアと出版は戒厳司令部の統制を受けるとし、フェイクニュースや世論の操作、虚偽の扇動などを禁じるとしていて、違反した場合は令状がなくても逮捕や拘束、捜索なども可能になるとしている。また、国防省が軍の警戒体制の強化を指示したという。一方、韓国の国会は今回の事態を受けてきょう未明に本会議を開き、非常戒厳を解除するよう要求する決議案を全会一致で可決し、国会議長が“戒厳の宣布が無効になった”と述べた。与野党はいずれもユン大統領の対応を非難している。
米国も懸念を示している。キャンベル国務副長官はバイデン大統領はブリンケン国務長官なども事態の進展について報告を受けているとコメント。その上で、いかなる政治的な争いも法の支配の下で平和的に解決されることを望むと強調した。そしてユン大統領は会見を開き、自らが昨夜発表した非常戒厳について、閣議を通じて解除すると述べた。ユン大統領の突然の発表を巡って韓国では混乱が続いている。韓国の通信社「連合ニュース」はきょう午前5時ごろ、閣議が開かれて非常戒厳は解除されたと伝えた。