NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
世界各地のコーヒー豆が30種類以上並ぶ都内の喫茶店、ここ数年仕入れ価格が上昇。特に今年は去年に比べて30%以上値上がりした。客に提供する価格にも転嫁せざるを得なくなっている。“コーヒーベルト”とよばれる赤道付近の国々で生産されるコーヒー豆。価格高騰の要因の1つが気候変動によるとみられる異常気象。各地で生産が危機に陥っている。世界3位の生産量を誇るインドネシア。中部ジャワ州のコーヒー農家・ファリダ・ドゥイさんは、ここ数年不作が続いているという。背景には、近年雨季の訪れる時期が不安定になっていることがある。また、雨季に入ると、これまでにはなかったような急激な大雨が襲うようになった。ファリダさんの農園では今年の収穫量は、例年の半分程度。南米ブラジルでも長期間雨が降らない日が続き、干ばつが大きな問題となっている。サンパウロ州の農家・シルビオアルメイダさん、干ばつの影響で豆が小さくなり、今年の収穫量は例年と比べて30%近く減った。2050年までに世界で最も流通する「アラビカ種」の栽培に適した土地が半減するおそれがあるという研究報告もある。
将来コーヒー豆の需要を満たすことができなくなるのではないか、先を見据えた取り組みも始まっている。ニューヨークなどに展開するカフェで提供が始まったのがその名も「BEANLESS」、豆を使わないコーヒー。普段飲んでいるエスプレッソとはやや異なる風味だったが、カプチーノではほとんど差を感じなかった。開発したのは、シアトルに拠点がある企業。コーヒーの成分を分子レベルで徹底的に解析。これまでは捨てられていたナツメヤシの種、ハーブ、雑穀などを調合してコーヒー豆とそっくりな成分を再現した。価格は通常のコーヒーよりも割高だが、環境を意識する世代などから好意的な反応が寄せられているという。英国キュー王立植物園・アーロンデービス博士は、「長期的には作物(品種)自体を変えることが最も成功する可能性が高い、年間の気温が高くても長期の干ばつにも耐えられるはるかに丈夫な品種を見つける必要がある」とコメントしている。