DNAで探る古代の謎

2025年3月19日放送 12:20 - 12:27 NHK総合
みみより!解説 (みみより!解説)

近年、古代の遺跡から発掘された骨の中に残っていたごく僅かなDNAを解読できるようになってきたことで、日本人の起源などに迫る発見が相次いでいる。日本列島に最初の人類がや渡ってきたのは氷河期だった4万年くらい前と考えられている。当時は海面が今より下がって陸地が広がっていたために海を渡る距離は短かく、台湾から沖縄、朝鮮半島から九州、さらにはサハリンから北海道と3つのルートで人類が渡ってきたと考えられていて、こうした人たちの血を受け継いで縄文人が誕生したと考えられている。現代の日本人は縄文人と渡来人のDNAが混ざっていて、本州などの日本人の平均だと縄文系のDNAがおよそ1、2割、後から入ってきた渡来系DNAが8、9割を占めていると分かってきた。沖縄や北海道のアイヌの人たちではこれよりも縄文系のDNAの割合がかなり多いと分かってきた。こうした日本人の成り立ちなどについて国立科学博物館とNHKなどが主催する特別展「古代DNA−日本人のきた道−」が先週末から東京・上野で開かれている。現在DNAの解読によって具体的な容姿や体質まで分かってきた。特に注目されているのが北海道礼文島で発掘された縄文時代の女性の頭の骨。奥歯の中に僅かなDNAが残されていて全身の遺伝情報が解読された。そしてDNAの解読からは古代人の血縁や家族関係まで分かってきた。岡山県の4世紀の古墳から出てきた人骨ではDNA解読によって一緒に埋葬されていた3人が父親と2人の娘であり、しかも娘2人は母親は異なるといったことまで分かっている。
国立科学博物館とNHKなどが主催する特別展「古代DNA−日本人のきた道−」が先週末から東京・上野で開かれている。犬はオオカミから分かれて進化したが、DNA研究からは世界のさまざまなオオカミの系統の中でも絶滅したニホンオオカミが最も犬に近かったと分かってきた。さらに6世紀末から7世紀初頭ぐらいの須恵器には恐らく製作中に土が乾く前に踏んでしまったと推定される猫の足跡もあった。ただDNAの研究からは現代の日本の猫の多くはこれより後平安時代以降の猫が祖先になっているのではないかという結果も出ていてその辺りの経緯などはまだよく分かっていない。従来の考古学などの発掘成果に加えてDNA解読が加わって人類の歴史が分かるようになってきた。こうした古代DNAの研究は近年分析装置が技術革新に伴って飛躍的に進んできた。その先駆者とされるのがドイツのマックスプランク進化人類学研究所のスバンテペーボ博士で、3年前にノーベル生理学医学賞を受賞したネアンデルタール人のDNAの解読に初めて成功したことで知られている。ペーボ博士は今回日本の研究者と共同で沖縄県石垣島で発掘された2万7000年前縄文時代より前の古代人の人骨からDNA解読を行って、そのDNAの一部が縄文人や現代の日本人にも伝わっていると分かってきた。国立科学博物館の篠田謙一館長は「現代の日本人がどのように成り立ってきたかなど従来の教科書に書かれていたこととはずいぶん違うことが分かってきたので、ぜひご自身の祖先の物語として見てほしい」と話していた。


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