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“城泊”とは城に泊まれるサービスのことで、香川県にある丸亀城では、来月から2人利用で1泊126万円の城泊を始める。ターゲットは海外の富裕層。地元の観光協会が中心となって、城泊を地域の活性化につなげようと取り組んでいる。
城泊は1日1組限定。オープンを前に、日本の観光プランを海外に発信している2人の女性が体験会に招かれた。出迎えるのは、地域の人たちによる和太鼓の演奏。国の重要文化財である丸亀城の天守を独占して、城主気分を味わえる。ゲストが宿泊するのは、特別に改装した城内の邸宅。食事は、地元の食材を使用したコース料理。こうした至れり尽くせりのサービスで、観光協会はインバウンド需要を取り込みたいと考えている。観光協会は、歴史的建造物の活用を得意とする大阪の企業と提携して、城泊による経済効果を地域全体に広げようとしている。観光協会が提携する企業・他力野淳代表は「官民が一緒になってみんなで地域を経営していく」と話す。この企業のアドバイスを受けて取り組んでいるのが、地元の店舗の価値を高めること。老舗和菓子店では、和菓子作りのオプションツアーを行うことにした。富裕層に職人の技を間近で体験してもらい、国の有形文化財に指定されている茶室でもてなす。提携する企業では、こうした特別な体験が富裕層に受け入れられるとみて、2人で5万円の価格をつけた。
さらに、城泊をきっかけに周辺の島にも訪れてもらおうとしている。船で20分の本島・笠島地区。この地区の古い空き家を宿泊施設に改装できないかと考えている。昔の暮らしを味わえるものが売りになるとみている。丸亀市観光協会・山田哲也事務局長は「城泊に泊まった方も本島・笠島地区で泊まって、お金を落としてもらって、この文化財(丸亀城)を守っていく好循環をつくっていけたらいい」と述べた。城泊は既に愛媛の大洲城で行われていて、広島の福山城などでも準備が進んでいる。インバウンドビジネスに詳しい村山慶輔さんは「世界の富裕層が読む雑誌に取り上げられれば、町が広く認知されブランディングにつながる」と指摘していて、このようなPR戦略も重要になりそう。