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SDV(ソフトウエアディファインドビークル)=「ソフトウエアによって定義される車」。スマホのようにソフトウエアの更新で機能をアップデートできる車のことで、中国で急速に開発が進んでいる。先月、中国南部・広州で開かれたモーターショーで展示された、通信機器大手が自動車メーカーと開発したEV、独自に開発した基本ソフトが搭載されたSDVを紹介。SDVの車内の画面に表示されているアプリには、音楽や映画などのエンターテインメントから運転支援機能まであり、車を買い替えることなく、ソフトウエアの更新だけでアップグレードされるのが特徴。ひときわ注目を集めていたのが、スマホメーカーが開発した車。ことし3月に発売し、予約開始後27分間で5万件以上の注文が入ったという話題の車の上位モデル。この車もSDVで、スマホのようにカフェの最新情報や道路事情をアップデートして教えてくれる。SDV注目の理由について。これまで自動車メーカーは新車を販売することで収益をあげてきた。いわば売り切りのビジネスモデルで、アフターサービスや部品交換などの収益は限られている。これに対し、SDVはソフトウエアの更新などをパソコンやスマホのように有料で提供し、自動車メーカーに継続的にお金が入る仕組み。アップグレードすることで、これまでと異なる付加価値を車にもたらすことができるとみられている。
SDVが強みを発揮するのが自動運転。IT大手が展開する自動運転タクシーは、中国国内10を超える都市で1000台以上が客を乗せて営業運転している。膨大な走行データをセンターに集めてAIで解析し、走っている車のソフトウエアを更新させることで、障害物を避ける機能を向上させている。SDVは部品の数が少なく、デジタル化しやすいEVと親和性が高く、EV開発に力を入れてきた中国メーカーの存在感が高まっている。日本のメーカーも、トヨタが自社開発した基本ソフトの搭載を目指しているほか、ホンダと日産も連携して巨額の開発費用を分け合って開発のスピードを上げようとしている。ただ、SDVを巡っては、インターネットに接続することでサイバー攻撃を受けるリスク、それによる事故の可能性など懸念材料も指摘されている。