時論公論 (時論公論)
3月20日にバッハ会長の任期満了を受け、新会長を選ぶ選挙が執り行われ、IOC新会長にカースティ・コベントリー氏が就任した。コベントリー氏はジンバブエの元競泳選手でありアテネ五輪ではジンバブエ選手として初の金メダリストとなったなどと伝えた。直面する課題は、開催都市の減少であり撤退する国が相次いでいて、決定プロセスの変更はIOCの危機感が現れている。パリ大会では32競技・約1万人が参加しており、スポーツによる平和な社会の実現という五輪理念からみると大会規模の拡大は望ましいとの見方もある一方で開催経費は巨額になっている。また気候変動の影響もあり、ウォータールー大学を中心とした研究チームによると、過去の冬の五輪開催地で今世紀末に競技環境を提供できるのは札幌市のみとの予測も出ていて、理念に共感しながらも開催都市への立候補は困難になっている。
様々な五輪改革の提案も出されており、日本人として初めてIOCの会長選挙に立候補した国際体操連盟の渡辺守成会長はその公約に世界5都市で同時に五輪を開催し開催都市負担を減らすと掲げていた。コベントリー氏も改革路線の継続を示唆しており、持続可能は五輪を目指している。トランスジェンダーの選手の参加問題について、ロサンゼルス五輪では女子スポーツへの参加を禁じると大統領令に署名し、IOCにも認めないよう求めている。ロシア・ベラルーシの参加資格問題や商業主義とのバランスの取り方などと課題は多岐に渡っている。大切なのはオリンピックがなぜ必要なのかを念頭に置くことなどと伝えた。