- 出演者
- 鈴木奈穂子 八田知大 博多大吉(博多華丸・大吉) 博多華丸(博多華丸・大吉) 駒村多恵 浅井理 坂下千里子 ゴリ(ガレッジセール)
オープニングのあいさつ。
今回取材したのは福島第一原発の原子炉の真下。今年8月に始まったのが処理水の海洋放出だが、番組がアンケートを行った所700件を超える疑問の声が届いた。今回は最先端の現場で疑問の声を直接ぶつけてきた。
アンケートで一番多かったギモンが「海の環境にもたらす影響」で「水産業に対しての影響」などが続く。3位の「処理水の安全性」は、「処理水はたまり続けているの?」「作り仕組みは?」といった内容があった。
福島第一原発では専用のバスで向かう。原発周辺は帰還困難区域に指定されている。まず訪れたのはホールボディーカウンターで、体内の放射性物質を測定する。そして原発内が見渡せる休憩室へと向かった。現在ALPS処理水が入るタンクは1000基以上。ここで「処理水はまだまだたまり続けているの?」というギモンを東京電力にぶつけると「1日あたり90立方メートル」との回答があった。放射性廃棄物の保管施設を作るため、タンクは増やせないという。
「処理水をためているタンクの寿命は?」という質問に、東京電力は「経年的に漏水が起こる可能性はあるので定期的な検査を行っている」などと答えた。
汚染水を処理するALPSという施設へ。ここには吸着塔というろ過装置がある。東京電力では放処理水を放出するたびに放射性物質の濃度を計測し、ホームページで公開している。このろ過装置ではトリチウムは取り除けないが「海洋生物や人間に悪影響はあるの?」という質問。茨城大学の鳥養さんは福島の大手スーパーから依頼され、魚のトリチウム濃度を測っているが、これまで検出される量のトリチウムが測定されたことは1度もないという。
処理水のトリチウム濃度はWHOの飲料水基準以下となっている。「これから処理水は増えると思うが、本当に30年で終わるの?」というギモンに、水野解説員は「汚染水が0にならない限りは処理水は出続ける。東電は具体的で実効性のある汚染水ゼロ対策を示さないと行けない」と解説した。
福島第一原発ではヒラメやアワビの飼育を行っている。水槽の水はALPS処理水を海水で薄めたもの。海洋放出されたt処理水は200ベクレル/Lだが、水槽の水は1300ベクレル/L。この水と普通の水で育てたものを体長、体重、死亡率、成長を比較しているが、問題はないという。
ALPS処理水を含めた海水で育てたヒラメの体内のトリチウム濃度は一定を保っていたが、通常の海水に戻したところ濃度は下がった。つまりヒラメに関しては濃縮されることはないとみられる。
ICRP(国際放射線防護委員会)によると、取り込まれたトリチウムのうち、94~95%は水の状態になり10日で半分になる。残りはたんぱく質に取り込まれ、大半は40日、一部は1年で半分になる。
福島第一原発にある化学分析棟。放出前の処理水はヨウ素など69種の放射性物質の濃度も測定している。実際に検出された29に、理論上可能性がある39に、トリチウムを含めた種類となる。東京電力は放出された処理水について、含まれる放射性物質は国が定める基準値を下回っているとしている。東京大学の乙坂准教授は震災以降、福島県沖の海水に含まれる放射性物質について調べているが、東電のデータをみると放射性物質は含まれているが微量だという。また海底に蓄積することは無いという。
海水表層のセシウム濃度は事故後0.001ベクレル増えたが、世界をみるとバルト海、アイリッシュ海などのほうが高い。WHOの飲料水基準は10ベクレル/Lなので、どこの地域の海産物も問題なく流通できる。福島の魚は未素揚げしたすべての業種を検査しており、50ベクレル/kgを超えた魚種があれば流通を止める仕組みとなっている。
再び福島第一原発のALPSへ。「使い終わったフィルターどうしてる?」という質問に、東電は「コンクリートブロックに入れて遮蔽して保管している」と回答。新たな廃棄物は年に156個増えている。東電の放射性廃棄物は10年後に80万立方メートルになるとされる。
福島県は放射性廃棄物は県外で最終処分してくれと要求しているが、恩恵を受けた地域が受け入れるのかといった議論もされるかもしれない。
アメリカのバイデン政権は、中国を念頭に置いた経済安全保障政策の一環として、中国向けの半導体の輸出規制を強化する措置を発表した。中国は反発するものとみられ、両国の関係に影響が及ぶのか注目される。
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気象情報を伝えた。
福島第一原発の処理水のギモンを東電に直接聞く。「他県の人が処理水について知らなさすぎるのが悲しい。自分のこととして知識を持って」といった視聴者の意見を紹介した。
水産業に対しての影響について。沿岸部にあるいわき市駅前で話を聞くと、多くの人が処理水放出を気にしていないと話した。いわき市中央卸売市場仲卸によると、いまのところ風評被害はなく価格も安定しているという。また海鮮店料理長によると、地球温暖化の影響などで、地元でとれた魚が入手しにくいそうで、処理水ばかりが問題ではないという。相馬市の釣師浜漁港で話を聞かせてくれた漁師さんは、海洋放出についても「もっと話をしてほしかった」と感じているが、次の世代に背負わせたくないと思っている。
福島の人たちは「次の世代の人達のために前に進めたい」と話している。ある福島の女性は「いつまでも被害者扱いされて疲れてしまう」と語っている。