- 出演者
- 桑子真帆
私人逮捕系の動画、行き過ぎた行為が違法だとしてユーチューバーが相次いで逮捕されている。その投稿によって自治体が対応に追われる事態も起きている。
オープニング映像。
私人逮捕について刑事訴訟法に詳しい弁護士によると、捜査機関の補完の役割であくまで限定的なもの、羽交い締めなど行き過ぎた行為は暴行や不当拘束の罪に問われる可能性があるという。私人逮捕系の動画が広がることについて捜査関係者は必要に応じて事件化して摘発しなければならないなどとしている。
ユーチューバーのラファエルさんは主にドッキリ動画などを投稿し、170万人以上の投稿者がいる。以前に過激な動画をあげていたとしてアカウントが停止となった経験がある。再生回数を維持しようと飽きられない動画を作ろうと焦りがあったという。さらに、ユーチューバーとなったころを比べて今は収益が得にくくなっているという。国際大学の山口真一准教授は動画は世の中の注目に応じてトレンドを変え、過激さを増してきたと指摘する。迷惑系、暴露系、私人逮捕系など過激さを追求する傾向は続くという。
学習院女子大学教授の澤田匡人さんは過激的な動画が広がっている背景には閉塞感の裏返しではないかという。アンケートによると、私人逮捕系の動画を見ている人は全体の3分の1ほど、日常的見ている人が7.9%だった。シャーデンフロイデ「人の不幸は蜜の味」が私人逮捕系の動画に当てはまるという。
ストリートミュージシャンとして10年近く活動している20代の男性は新宿で歌う準備をしていたときにユーチューバーに撮影され投稿された。男性がライブをしていた場所は警察の許可が必要だった。男性は撮影したユーチューバーに動画は公開しないでほしいとその場で何度も伝えていたが、1週間後にネット上に自分の顔と名前がさらされた。誹謗中傷は1日に100件を超えていたという。その後、予定していたライブハウスの出演が中止になるなど活動できない状況になった。
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今年9月、岡山県が管理する河川敷で撮影された動画。ユーチューバーが高齢男性に対して河川敷を不法に占拠していると追求。その後、男性が刃物を出すなど危険行為をしたため、警察に引き渡した。男性は近くに住む80代の中国残留孤児で河川敷の一部で畑を作っていた。住民が注意したこともあったが聞き入れられなかったという。県は去年から看板設置などの対策に乗り出していた。説得を続けて、男性が自発的な対応を促す方針だった。その矢先に動画が撮影され30万回以上再生された。撮影したユーチューバーは行政や警察の対応が甘く、困っている住民との橋渡しとして活動したと主張している。動画は顔がさらされたまま残り続けている。県の担当者はユーチューバーの対応に違和感を感じているという。
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学習院女子大学教授の澤田匡人さんは犯罪はだめということと、動画をさらすことは別に考えなければならないという。YouTubeを運営するGoogleはガイドラインや収益化ポリシーに違反した場合は、チャンネルの停止が動画の削除をすすめることもある。アンケートでは、私人逮捕系の動画を投稿すべきでないとした人が70%、必要だと思うという割合が26.3%だった。ある程度抑止力になっているのではという意見もあった。澤田匡人さんは動画は簡単に人を傷つけてしまう、想像力を持つことが求められているなどと話した。