- 出演者
- 桑子真帆
オープニング映像が流れた。
神戸市消防局の署員たちが大震災から1ヶ月後に書いた手記を元にどのような救助が行われたのかを紹介。阪神大震災では5400人以上が犠牲になったが大多数が壊れたビルなどの下敷きになり亡くなった。神戸市消防局がまとめた救助活動結果では救助人員は2985人うち生存者は677人、死亡者は1408人。これまでに50人以上の隊員から手記が集まり中には生と死や救出しきれなかった無念の思いが綴られている。神戸市にある生田消防署のレスキュー隊隊長岡田幸宏さんは亡くなった人を残して次の現場に向かったことを今も後悔しているという。手記には「レスキュー隊員になってから死亡と判断できる状態でも救出してきた。去ろうとしていることは救助のプロとして失格かもしれない」と綴った。1月17日当直していた岡田さんは激しい揺れに目を覚まし次々と頼まれる救出に署に戻れないまま4か所16人を救出した。午前7時すぎには青年が崩壊したアパートの救出を頼んできたので向かうと2階は無事だったが1階は下敷きとなっており岡田さんは3人の隊員と隙間から入り生存者を探した。中谷係長は生存者の救出を優先するため岡田さんらレスキュー隊に一度戻るように何度も確認していた。後回しにしろとの指示があったが岡田さんらは3時間で5人を救出したが最後に頼まれた女性の救出はならなかった。岡田さんは「地震から助けた人間は生存者ばかりで死亡している人間と対面が初めてで係長のいう後回しにはできなかった」と指示に従わなかったという。消防署前では救出を待つ人たちで溢れていたが岡田さんはその後も戻らずアパート救助を続けたが重機がないと救助できないとその場を去り次の現場へ行ったがすでに亡くなっていたという。岡田さんは午前中まで声がしていたときき「悔しさというか判断が間違っていたのか、投げたオレが間違い、全部が中途半端。未だにあの時こうしたらと考えると寝付けない」と話した。
神戸市消防隊員への取材に当たった窪川氏は「こうした手記は自らの記憶を留めておこうと個人的に書き残し始めたものでいくつかの手記が集まった時に神戸市消防局としても体験を今後に活かそうと記録することを進めている。震災では直後からほとんどが数日間不眠不休で救助活動にあたったが自分がその時どういう行動をしたのか・1つ1つの現場でどう感じたのかなどを踏み込んで書かれている。レスキュー隊員は普段一刻も早い現場に出動するが人数は十分でなく4人組で対応にあたるが今回は十分に発揮できなかった」などと話した。
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灘消防署には10人のレスキュー隊員が在籍している。隊員の1人の河本幸舟さんは、震災による全壊した建物での救助作業は初めてだったという。隊員歴1年半の伊藤力さんは、1人で救出作業を行わなければならなかった。救出現場の数があまりに多く、バラバラにならざるを得なかったとのこと。伊藤さんは若い男性とお年寄り夫婦の3人の救出に成功した。しかし伊藤さんは次の現場で救出を諦める判断をし、おばあちゃんを探す人に「救出できる可能性の高い人から優先させてほしい」などと辛いお願いをしなければならなかった。中には人の手だけでは無理で重機が必要な現場もあり、その理由で救出を諦めざるを得なかったケースもあった。レスキュー隊長の岩井一尊さんはもっと早く重機が使えたら生存した状態で救出できた人もいたかもしれないなどと話した。
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神戸市には災害時における救助活動のマニュアルがあった。このマニュアルではある1か所の現場で500人が巻き込まれた事態を想定していたという。救出現場に機材や人員をいかに効率よく配置するかなどが記されているとのこと。しかし今回の災害では救助を求める人が想定を遥かに上回り、救出現場も数多くあったため、消防が持っている救出のための備えが分散される形になったという。神戸市消防局ではレスキュー隊員の手記をもとに救助活動の見直しを行っている。現在は救出能力の分散を防ぐために、神戸市内の全ての消防署にレスキュー隊を配置することを検討しているという。
歴代のクローズアップ現代を見返せるQRコードの紹介が行われた。