2023年12月19日放送 2:22 - 2:47 NHK総合

クローズアップ現代
選 パソコン界の先駆者 そのベンチャー精神に迫る

出演者
国谷裕子 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

今回は…

パソコンの原型となったのはアップルII型(1977年発表)。開発したのは当時21歳のスティーブ・ジョブズさん。友人と2人でベンチャー企業を経営していた。パソコンの利用者を一般の人々へと拡大していった。現在アップル・コンピュータ社を経営するジョブズさん。パソコン界のカリスマ・預言者とも呼ばれている。常に新しい分野に挑戦し続けるジョブズさんのベンチャー精神に迫る。

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Apple IIアップルスティーブ・ジョブズトイ・ストーリー2
(クロ現 30th:パソコン界の先駆者 そのベンチャー精神に迫る)
パソコン界の先駆者が語る

国谷さん「途中でやめようと思ったことは?」、ジョブズさん「大変なことはありましたが諦めようと思ったことはありません。始めは本当に苦労しましたね。成功する人としない人の一番の違いは途中で諦めるかどうかです。必要なのは強い情熱です」。国谷さん「パソコンは今後どんな役割を果たすと考えていますか」、ジョブズさん「今パソコンに第3の時代が訪れようとしてるんです。第1の時代は1980年頃に始まった生産性の時代です」「6・7年前から第2の時代、インターネットの時代が始まり産業界だけでなく一般の人々も恩恵を受けるようになりました」「そして今、第3の時代。つまり私達の生活スタイル全体がデジタル化する時代に突入しようとしています」。

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アップル
パソコンの開発

神戸で開かれたアメリカン・ドリームの世紀展。20世紀の文明を代表する製品が展示された。ジョブズさんが24年前に作ったパソコンも並んだ。ジョブズさんがパソコンを開発したのはカリフォルニアにある自宅ガレージ。社員2人、資本金わずか1300ドルのベンチャー企業でした。当時コンピューターは企業や大学の研究所向けに作られた大型のものがほとんどでした。使うのは一部の専門家だけでした。ジョブズさんのパソコンは大ヒット。創業から6年で年間売上10億ドルを達成しアップル社はアメリカを代表する大企業となった。ジョブズさんは注目を集め雑誌TIMEなどの表紙を飾った。パソコン利用者はそれでもなお一部の人に限られていた。当時パソコンを動かすにはコマンドと呼ばれる複雑な記号を打ち込む必要があったからです。ジョブズさんはこの問題を一気に解決する技術を導入。パソコンの一つ一つの機能をアイコンという絵文字で表す。そしてマウスと呼ばれる装置を導入した。マウスを使ってアイコンをクリックするだけで必要な機能を呼び出すことができるようになった。この画期的な技術の導入でパソコン利用者はさらに広がった。ジョブズさんは「どこにもなかったから自分で作ったんです」「最初は自分たちのためにパソコンを作りました。それを友人に見せたらみんな欲しがったので2人で1台1台手作りでパソコンを作り始めました」などと語った。

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TIMEアップルカリフォルニア(アメリカ)兵庫県立美術館神戸(兵庫)
ベンチャー精神で会社再生

会社は順調な成長を続けた。しかし経営方針の対立でジョブズさんがアップル社を離れた後、会社に聞きが訪れる。ジョブズさんのライバル、ビル・ゲイツ氏が率いるマイクロ・ソフト社がパソコン市場を席巻しはじめたのです。1995年に発売されたこの製品は最初の1年だけで4000万本を超える驚異的な売り上げを記録した。アップル社は赤字に転落。経営は危機に陥った。1996年、ジョブズさんは会社に復帰し経営の立て直しを始める。Think different.、考え方を変えよ。ジョブズさんが掲げた再建のスローガン。新しい発想で生まれたのが誰もが簡単にインターネットを使えることに狙いを絞ったパソコンでした。カラフルなデザインで女性など新たな市場を開拓しジョブズさんは会社を立て直した。

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アップルスティーブ・ジョブズビル・ゲイツマイクロソフト
求められる新しい戦略

今パソコン業界は携帯電話など小型の端末の登場によって大きな転機を迎えている。今後インターネットによる情報の伝達は携帯電話などが中心になるとも言われている。パソコン業界は新たな戦略を求められている。スティーブ・ジョブズは「インターネットは素晴らしいと思うが、感情的なものを伝えることはできない。情報や知識に偏ったもの。インターネットが感情を伝えるにはまだ容量が足りないし、そこまで進化していない。テクノロジーと人間性の接点に位置すべき。パソコンという道具により人間的な要素を持ち込もうと考えている。パソコンを知的の面だけでなく、他の面でも役立つようにしたい」とした。

情報から感性へ

全編コンピューターグラフィックスによって制作された映画「トイ・ストーリー2」。登場人物たちが表情豊かに動きまわり、大ヒットした。この映画の制作に関わったジョブズさんはコンピュータ技術が人の心を動かす力を秘めていると確信した。ジョブズさんは今、パソコンを情報だけでなく人間の感情を伝え合う手段にしたいと考えている。中でもコンピュータ独自の映像表現を一般向けのパソコンで実現することに力を入れている。パソコンによる映像技術による進歩はすでにデザイナーや建築家、漫画家などの表現方法を変え始めている。今年64歳になるモンキー・パンチさん。30年以上にわたってルパン三世を描き続けてきた。数年前まではペンや筆を使って一コマ一コマ漫画を描いていた。しかし、今使うのは電子ペン。パソコンなら自分が納得いくまで何度でも色や線をかきなおすことができる。モンキー・パンチさんはパソコンの特性をさらにいかした新しい作品づくりを始めている。デジタルコミックと言われるパソコン上で見る漫画。漫画のコマ自身が動いたり、台詞や効果音ものせられる。将来はインターネットを使って読者と登場人物が対話できるような作品も手掛けたいと考えている。情報を伝える道具から感性を伝える道具へ。パソコンは人間性に溢れた存在になるべきだとジョブズさんは考えている。ジョブズさんはコンピュータ業界は数字を計算したり、仕事の文書を書く人の話しか聞こうとしなかったが、いまは様々なデジタル機器が登場して、感情を伝え合うパソコンの新しい側面い光が当たるようになってきたとした。

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トイ・ストーリー2ルパン三世
10年後の自分について

10年後の自分について、ジョブズさんは先の見通しはわからないし、あまり考えないことにしていると答えた。

エンディングトーク

エンディングトークで国谷さんはパソコンは情報を伝える道具から感情を表現できる道具になるとジョブズさんは予測していた。半世紀以上前に作られたアニメーション映画白雪姫に大感激する息子さんを見て、最先端のパソコンはすぐに古くなるけど、素晴らしい映像は世代を超えて残っていくことを改めて感じたそうです。ジョブズさんがパソコンによる映像表現にとりわけこだわる背景にはこうした家族との体験もあるようです」と話した。

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白雪姫

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