- 出演者
- 桑子真帆 三牧聖子
来週に迫ったアメリカ大統領選挙。そのカギを握るのは26歳の女性、激戦州で選挙対策を担う党の要職を任されている。目標は若者票の獲得。大学を回り、投票を呼びかけている。一方、トランプ前大統領も若い男性を中心に支持拡大を図っている。大接戦の行方を左右するZ世代の選択に迫る。
全米支持率の平均を紹介。今月29日時点でトランプ氏48.4%、ハリス氏48.0%となっている。選挙の行方を左右するものの一つとして注目されているのが有権者の2割近くを占めるZ世代の若者たち。Z世代の有権者の4割は支持政党を持たない無党派。この割合が他のどの年代よりも多いという。激戦州のノースカロライナ州は大学やスタートアップ企業が多く、Z世代が次々と移り住んできている。投票先を決めていないZ世代にどうアピールするのか。民主党・ハリス陣営が力を入れているのはSNSで様々な情報を発信するインフルエンサーの活用。8月の民主党全国党大会に200人以上のインフルエンサーを初めて招待した。Z世代に向け、党大会の様子を紹介。ハリス氏への支持を呼びかけてもらった。民主党はこうした発信がのべ5億人に届いたとしている。民主党を支持するインフルエンサーのコリー・アベーサさん。フォロワーは激戦州のペンシルベニア州を中心に約10万人。普段は若者に関心が高い地元のグルメやイベントなどの情報を投稿している。党大会で発信したのは大物議員のインタビュー、Z世代などから多くの反響があった。10月、コリー・アベーサさんはフォロワーなどに呼びかけ、ペンシルベニア州でイベントを開催。参加したのは様々な人種の若者たち、LGBTQなど性的マイノリティの人たちの姿もあった。ハリス氏が大統領になればマイノリティの権利を擁護するとして投票を呼びかけた。
一方、トランプ陣営が力を注いでいるのはZ世代の男性の取り込み。トランプ氏の集会で多くの参加者が見ていたのは登録者数800万人以上の人気YouTuberのチャンネル。普段は悪ふざけやいたずらの動画を投稿しており、Z世代の男性に絶大な人気がある。彼らのチャンネルに度々姿を見せているのがトランプ氏。トランプ氏はYouTuberたちと共演することで、普段政治に触れることが少ないZ世代の男性たちに支持を広げようとしている。トランプ陣営が特に強く訴えかけようとしているのが努力しても報われないと感じている若い男性たち。大学生のコナー・ブレイディさんは女性やマイノリティが優遇され、自分のような白人男性は軽んじられていると感じている。保守系シンクタンクの専門家のダニエル・コックスは若者に広がる閉塞感への理解を示すことで、トランプ氏は支持を広げているという。
激戦州の18歳~29歳の支持率を紹介。9月はハリス氏53%、トランプ氏36%だったが、10月はハリス氏47%、トランプ氏37%となっている。三牧聖子はハリス氏について、黒人女性初の大統領になるかもしれないということで刷新感でZ世代の期待を集めた。しかし、バイデン政権のどこを継承して、どこを変えていくのかということに関して明確にできていない。新しい政策に期待していた人たちが裏切られたと感じ、支持率の低下につながっていると話した。一方、トランプ氏については女性やマイノリティが社会に進出してくることに関して、追いやられていると感じる白人男性に訴えかけるようなメッセージをトランプ陣営は効果的に発してきた。それが支持率につながっていると話した。Z世代は命を守る、人権を守る政策をしてほしいという価値観を持っているという。
ペンシルベニア州に住むジャレッド・ペレーズさんは自動車部品の修理の仕事をしているが、バイデン政権下でインフレが進み、今の収入では生活ができなくなったという。現在はトランプ氏に投票しようとしている。ただ、トランプ氏の移民政策が気がかりだという。友達には不法移民の人もいて家族を養うために働く姿を見てきた。憎しみを煽るようなトランプ氏の発言に危うさを感じながらも、目の前の生活を優先せざるを得ないと考えている。ウィスコンシン州にある大学でガザでの停戦を求める抗議デモに参加したローマン・フリッツさんは民主党を支持しているが、ハリス氏の中東政策には反発している。ハリス氏に政策を見直してほしいと考え、民主党の州代表の1人となり、ハリス氏を大統領候補に指名する投票で棄権票を投じた。その後、8月の民主党全国大会に参加。参加者の一部がイスラエルへの武器供与に抗議する横断幕を掲げたが、その一角だけ証明が消されたという。ローマン・フリッツさんはすごく不快で泣きそうだったなどと話した。ノースカロライナ州に住むソーエン・マコーミックさんは民主党を支持している。選挙の結果以上に気がかりなのが国内の分断が一層深まることだという。9月下旬、ノースカロライナ州などで210人を超える犠牲を出したハリケーン。未曾有の災害すら相手を攻撃する材料になった。党派対立や分断が暴力にまでつながるようになったアメリカ社会。ソーエン・マコーミックさんはその影響が家族に及ぶことを心配している。社会の寛容さがこれ以上失われたら、家族で国を出ようと考えている。
三牧聖子はハリス氏に新しい政策を期待していたが、裏切られたと感じている最たるものは対イスラエル政策。人権を重視するZ世代はパレスチナ人に共感している人が多い。彼らから見るとトランプ政権の親イスラエル政策を思えばトランプ氏にも入れられない。どちらにも入れられないと悩んでいるZ世代有権者は少なくないと話した。現状への危機感についての調査でアメリカの18歳~29歳はアメリカの民主主義は問題・失敗だと答えた。三牧聖子はZ世代は相手陣営の批判をしている政治自体に幻滅しているなどと話した。選挙が終わった後は相手陣営を包み込むような政治を見せることが重要だという。
選挙後の社会の分断を懸念していたソーエン・マコーミックさん。共和党を支持する学生と共にハリケーンの被災者の支援に乗り出した。政治的な対立を乗り越え、協力できる社会を若い世代からつくっていきたいと考えている。