2025年4月16日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
“ヤバい・エグい”は危険!? 注目される感情リテラシー

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
“ヤバい・エグい”は危険!?注目される感情リテラシー

過去最悪の被害額を更新した闇バイトなどの特殊詐欺。検挙される若者が後を絶たないのはなぜなのか?気持ちを言葉にできない若者が犯罪に引き込まれる実態が見えてきた。感情をめぐる現代の危機にはどんなリスクが含まれているのか深堀りした。

オープニング

オープニング映像。

“ヤバい・エグい”は危険!?注目される感情リテラシー
“感情を表現できない” 闇バイト 若者に何が?

「ヤバい」という言葉、喜怒哀楽どれもこの一言で事足りている。本来人の感情は大雑把に分けても100の言葉に分類されるという。今回は感情表現が犯罪リスクと関わっていることが分かってきた。

佐賀少年刑務所。闇バイトで検挙され受刑者に共通する課題が持ち上がっている。作業や面接で感情を表に出さない人が多いという。闇バイトの実行犯として週刊された受刑者が取材に応じた。犯行時、罪の意識はなかったという。複雑な家庭環境で育ち、幼いころから感情を表に出すことはほとんどなかったと振り返る。なぜ、何の感情もなく罪を犯す若者が多いのか?番組では刑務所・少年院の収監者にアンケートを実施した。回答した287人中、闇バイトに関わった人は78人だった。自分の気持ちがわからないときがあるか?という質問に対し、いつもそう・だいたいそうと答えた人が35.6%、どちらともいえないが22.4%だった。誰かに悩みを相談することを、ほとんどしない、まったくしないという人が57%だった。取材では自分の気持ちを伝えられないという若者を犯罪に引きずり込む手口も見えてきた。15人以上の若者を実行役に勧誘したリクルーターは、自分の気持ちを言語化できていない子は感情をコントロールしやすい、いいカモだったという。川越少年刑務所では2年前から受刑者の感情を受け止める対話の時間を設けている。

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“ヤバい・エグい”は危険!?注目される感情リテラシー

感情について研究している渡辺弥生さんは、刑務所などでのアンケート結果について、感情に気付けない・理解できないなどの感情リテラシーの乏しさがあることが分かったという。感情リテラシーの乏しさは、デジタル化して文字媒体のコミュニケーションが多くなってきことなどでお互いの気持ちを深いところまで理解できない、ライフスタイルが変化していて家族が集まらなくなったことなどが原因になっているという。スマートフォン接触時間と語彙力の関係性をみると、高校生の場合2時間以上スマホに接触していると語彙力が下がるという結果がある。渡辺さんはスクリーンを見ている時間が長いと語彙力を学ぶことが少なくなる、受け身なので自分から表現することができなくなってくるのではないかという。

“犯罪率ゼロ”で注目 感情リテラシー どう育む

佐賀少年刑務所で取り組んでいるのは感情を適切な言葉で表すトレーニング。用いられるのは「言葉のバブル」という教材。怒りの感情を表す言葉のバブルは、激怒・烈火のごとくなどの言葉を怒りの感情の大きいと思う順番に並べていく。怒りにも多様な感情があること、人によって感じる感情の強さが違うことを学ぶ。ヒューマンハーバーそのとく塾が開発した教育プログラムは刑期を終えた人にも行われ効果を上げている。6年前からはじめた講座、修了生の再犯率は6年間でゼロ。この教育プログラムは一般企業からも問い合わせが相次ぎ、研修などに活用されている。

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“ヤバい・エグい”は危険!?感情リテラシー どう育む

感情について研究している渡辺弥生さんは授業や研修で感情のグラデーションを色分けしたものを使用しているという。赤いゾーンにはエネルギーが高く不快な気持ちがたくさんある。桑子キャスターはどの感情で話しているのか?を試してみた。渡辺さんは気持ち言葉は色々あるということをゲームしながら学ぶことができ、相手の気持ちを考える練習にもなるという。

校内トラブル激減 感情リテラシー育む授業

大阪市立南市岡小学校で独自に取り入れているのが、「きもちことば」のマップ。アメリカの大学で開発された多様な感情を表すヌードメーターを分かりやすく色分けしたもの。これを活用して主人公の感情を言葉で表すことを学ぶ。取り組みをはじめきっかけは校内暴力。年間100人以上がケガをした年もあった。自分の気持ちをどう言葉にするか普段から大切にしている。取り組みを続ける中で子どもたちは先生の力を借りずに自分たちで解決しようという姿を見せてきた。アオイさんは掃除の協力を求めたつもりが相手には命令に捉えられてしまった。気持ちを理解し、伝える学びを続けて1年。学習発表会に向けた練習をしていたとき、緊張から泣き出した友達にアオイさんはすぐに声をかけた。

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大阪市立南市岡小学校
“ヤバい・エグい”は危険!?感情リテラシー どう育む

校内暴力は全国的にも増加していて、令和5年度には10万8000件と過去最多となっている。特に小学生の増加が著しい。渡辺弥生さんは大人が感情リテラシーを教えることが弱まっているのではないかという。子どもがケンカをして帰ってきたときに親はどう声をかけたらいいのか?葛藤を抱えた子どもに親が怒ってしまったり自分も悲しい気持ちになると情動感染してしまう、気持ちに寄り添ってあげることが必要だという。

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