2025年4月15日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
100人いたら100通り 発達障害の“適切な支援”とは?

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
「発達障害を早く見つける」 その先の課題とは?

発達障害などを早期に発見し、適切な支援につなげようとする5歳児健診。国は今年1月から健診の実施率を上げようと支援を本格化している。どうすれば子どもたちが幸せな社会をつくれるのか考える。

キーワード
発達障害
#4997 100人いたら100通り 発達障害の“適切な支援”とは?

5歳児健診は自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害などの発達障害を早期に発見して支援につなげることを主な目的としている。法律で実施が義務化されている1歳6か月児健診や3 歳児健診と異なって、行うかどうかは自治体の任意となっている。現在の実施率は13%ほどで、国はこの1月から補助金を増額して全国の自治体での実施を目指すことを打ち出した。

キーワード
学習障害注意欠如・多動症発達障害自閉スペクトラム症
発達障害の早期発見 “5歳児健診”の意義は

斉藤さん(仮名)の娘は10歳の時に当時の診断でアスペルガー症候群とされた。3歳の頃から発語が遅く、突然パニックを起こすなど、ほかの子どもと発達の違いを感じていた。行政機関に相談したが、「発達がゆっくりなだけ」と言われ、専門病院には行かなかった。小学校に入った娘は周りから、からかわれるようになったという。8歳で不登校になった。当時、斉藤さんが住む自治体には5歳児健診がなかった。5歳児健診は保健師や医師が子どもと遊んだり、親に普段の様子を聞き取ったりするなどして発達のチェックを行う。5歳児健診の研究をする医師・永光信一郎さんは発達障害が早期に発見されないことで、いじめや不登校につながるケースがあるという。

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アスペルガー症候群発達障害
「発達障害を早く見つける」 “5歳児健診”後の課題

5歳児健診後の医療体制に課題を感じる人もいる。井上さん(仮名)は娘が専門医の診断を受けることができず苦労したという。児童精神科医・矢野瑞季さんは専門知識を持つ医療現場のマンパワー不足が原因だとみている。発達障害の診察や検査には時間がかかる。発達障害の初診を受けるまでの待機期間は平均2.6か月。半年や1年以上かかる場合もあるという。

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厚生労働省小平(東京)発達障害

子どもの発達障害を30年以上診察し、研究してきた医師・神尾陽子さん。5歳児健診について、新たに分かることは少ないが、1歳半~3歳まで支援を受けてきた方の発達経過を振り返って、それまでの支援のどれが良かったのかなどを整理する機会になれば有意義などと話した。必ずしも診察を受けないといけないわけではないが、専門医の診察も重要。

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発達障害
「希望した教育が受けられない…」 “5歳児健診”後の課題

発達障害の子どもがいる親の会。一番の悩みのタネは進学した学校で希望した教育が受けられるかどうか。発達障害がある子どもたちの学びの場は通常の学級以外にもある。通常の学級に在籍しながら週に数時間、別の教室で受ける通級による指導。障害ごとに学級を編成した特別支援学級。比較的重い障害がある子どもたちが通う特別支援学校。少子化が進んでいるが、3つを合わせた特別支援教育の利用者は2014年から2024年にかけて2倍に増加している。学校に行っても期待した支援が受けられなかったケースもある。学習障害があるケンタさん(仮名)。母親はケンタさんの特性に合わせ、プリントの文章を読み上げるなどのお願いをした。しかし、この学校では対応してもらえず、勉強についていけなくなったという。

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学習障害文部科学省旭川(北海道)発達障害

神尾陽子さんは文科省は全国調査を行い、特別な支援がいる子どもがどれくらいいるか分かっている。どれだけの学校で先生が必要でサポートする専門家が必要か分かるので、学校の設計を見直して、どういう子どもが支援を受けていないのかを検証すべきだと話した。こども家庭庁は地域で保険・福祉・医療・教育の関係部署が連携し、適切な支援につなげていけるように取り組みを進めていきたいとしている。

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こども家庭庁厚生労働省文部科学省発達障害
100人いたら100通り 理想の支援のあり方は?

18年前から5歳児健診に取り組む大分・竹田市。健診で発達の遅れを指摘されたり、育児に不安があったりする保護者を検診後もフォローするため、2か月ごとに相談会を開催している。様々な分野の専門家が一堂に会し、ワンストップでその場で必要な支援につなげられるため、マンパワー不足の解消にもつながっている。東京・江戸川区の発達相談・支援センターには発達の特性で困る子や親が週に1度受けられるオーダーメイドのプログラムがある。子どもの支援だけではなく、親にもその手法を学んでもらうペアレントトレーニング。また、アプリで子どもごとに成長具合を見える化。自宅に帰ってからも取り組むことができる。このプログラムは自治体と国の公費で3歳以上は無料で利用することができる。埼玉・戸田市にある喜沢小学校の一部の授業では3年前からインクルーシブ教育に取り組んでいる。誰とどこでどのような教材を使って勉強するか自由に選ぶことができる。普段は特別支援学級で学んでいるサトシさん(仮名)。友達に教えてもらうのは分かりやすいと話した。

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戸田市立喜沢小学校戸田(埼玉)江戸川区発達相談・支援センター江戸川区(東京)発達障害竹田市竹田(大分)

神尾陽子さんは療育は専門家が行うもので、子どもに必要な目標を立てる。インクルーシブ教育は多様性を尊重して1人1人のペースで教育を受けられると話した。日本の教育のあり方について、国連から障害のある児童への分離された特別教育が永続しているという勧告を受けている。発達障害は生まれつきの脳の個性・多様性。何かを直すということではなく、その人の個性を最大限に伸ばせるような環境づくりが大切だという。

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国際連合発達障害

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