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- 桑子真帆
オープニング映像が流れた。
「非常戒厳」を宣言したユン・ソンニョル前大統領の罷免に伴い、2年前倒しで韓国大統領選挙が行われることとなった。世論調査によると、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン候補が保守系与党「国民の力」のキム・ムンス候補をリードしている。イ・ジェミョン氏は3年前、大統領選挙で虚偽の発言をしたとして、複数の刑事裁判を抱える。だが、有権者のキム・ソウルさんは「イ・ジェミョン氏より前大統領のほうがもっと危ない」と話す。イ・ジェミョン氏は苦学の末に弁護士、そして45歳で市長に。対する国民の力は公認候補の選出で党内が混乱した経緯がある。
浅羽祐樹教授は革新か保守かで決めきれない”中道層”について、「革新が2、保守が1ぐらい」と話す。少子高齢化、年金改革、鈍化する経済成長、関税戦争といった内憂外患のなか、強いリーダーシップを発揮すると期待されているのがイ・ジェミョン氏だというが、独裁になるかもと憂慮する有権者もいる。
韓国では多くの有権者がYouTubeで政治情報を収集している。チャンネル総登録者数が150万人を超える保守系YouTuber、チョン・ハンギル氏は非常戒厳をきっかけに、前大統領の弾劾反対を呼びかけてきた。韓国では過去の選挙が北朝鮮の介入などによって操作された疑惑があると、一部の動画サイトで繰り返し言及されている。前大統領は疑惑を明らかにするため、「非常戒厳」を発令して選挙管理委員会に軍を派遣したが、証拠は確認されていない。5月21日、韓国で不正選挙をテーマにした映画が公開されたが、制作したのはチョン・ハンギル氏。公開初日、作品を鑑賞するハンギル氏の隣には前大統領の姿があった。
「非常戒厳」の後、韓国では一部の若者が集会にデモへの参加、団体結成などの動きを見せているという。また、支持する候補が異なる有権者を敵視し、食事すら共にしないといった感情的分極化が進んでいる。
韓国・ソウルから中継で、大谷支局長は「選挙戦では相手候補の批判が目立ち、分断の克服は容易ではない」などと伝えた。その選挙戦は支持率でイ・ジェミョン候補がリードしている。
イ・ジェミョン氏の対日発言の変遷をおさらいした。同氏の陣営につくソ・ヒョンウォン氏は「トランプ政権の登場とともに関税問題で、各国が保護貿易主義に回帰しようとしています。韓日間の協力は重要になったと思います」と話す。
浅羽祐樹教授はイ・ジェミョン候補について、「国益重視、実用主義を外交の基本路線として掲げ、『一緒にやるとメリットがある』といった政策課題を日本から提示していくべき」と話した。
韓国の有権者にインタビューすると、「庶民のための政治を」、「恋愛して結婚して家庭をつくる」、「分断を超え、ひとつの良い社会になって欲しい」といった声がきかれた。
エンディング映像。